2002 Fiscal Year Annual Research Report
ラット視覚野・聴覚野に隣接する高次領野を介した視聴覚連合機構の解析
Project/Area Number |
14780600
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
菱田 竜一 新潟大学, 脳研究所, 助手 (90313551)
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Keywords | ラット / スライス / 41野 / 18a野 / 領野の同定 / イボテン酸 / local perfusion法 / axon collateral |
Research Abstract |
1,生スライス中での領野の同定方法 スライス中の層構造を照らし出す光源には豆電球を使っていたが、光源波長と見える構造との関係を調べるため、POLYCHROMEを光源にして400〜700nmの範囲で生スライス中の領野の同定を試みた。400〜500nmでは、層構造は見えなかったが、600〜700nmでは、豆電球と同じ程度にはっきりした層構造が見え、長波長の光によりミエリン密度の濃淡が可視化できることがわかった。 2,41野・18a野の機能結合が示す非対称性のメカニズムの解析 電気生理学的手法により、「シナプス伝達は41野から18a野へと流れやすいが、逆方向には伝達されにくい」という結果を得ていたが、この非対称性の基盤は不明だった。基盤のモデルとしては、「非対称なaxon collateralの分布」と「非対称なシナプス投射」の2つが考えられた。そこで、イボテン酸のlocal perfusionによって、局所的に神経変性をおこし、これにより引き起こされたpostsynaptic成分の変化から、各モデルの妥当性を評価した。41野V層の刺激部位付近にイボテン酸を投与しても、18a野II/III層で記録した電場電位の波形には大きな変化は見られなかった。この結果は、変性した41野V層付近の神経細胞から18a野II/III層への投射はほとんどないと解釈できた。次に、イボテン酸を投与する領域を広げ、41野V層およびII/III層付近の神経細胞を変性させたところ、18a野II/III層で記録した電場電位のantidromic成分は不変だが、postsynaptic成分は小さくなった。この結果から、41野II/III層の神経細胞から投射されたaxon collateralの寄与が大きいことが明らかになった。以上から、「非対称なaxon collateralの分布」というモデルが妥当であると結論できた。
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Research Products
(1 results)