2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14780604
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田畑 秀典 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80301761)
|
Keywords | 神経発生 / 細胞移動 / リーラー / 大脳皮質 / 層形成 |
Research Abstract |
マウス大脳皮質の発生過程において、神経細胞が配置する機構を解明する目的で、我々の開発した子宮内電気穿孔法を用いて、神経細胞の移動様式を解析した。本研究スタート時点で、我々は、3種類の移動様式が区別できることを観察していた。従来から知られている放射状線維を足場として移動するもの、移動開始時点から突起の先端が脳表面に結合し、この突起を短縮しながら細胞体が移動する細胞体トランスロケーション、そして我々が観察した多極性細胞に特有の移動様式(multipolar migration)である。ここでは、簡略化のために、これらをそれぞれA, B, Cタイプと呼ぶ。今年度は、これらの移動様式が、発生過程でどのように使い分けられているのかを解析した。現在までに以下の結果を得ている。 1、最終分裂を終えた神経細胞は、放射状グリアの形態からの連続として、放射方向に伸びた双極性や単極性の形態を持つ。そのうち、放射状線維を持ち、脳室面との接触を失った細胞がBタイプとして観察される。これらの細胞のほとんどは、皮質板に入る前に突起を短縮させ、Cタイプに変化する。さらに皮質に進入するまでには、Aタイプに変化する。つまり、3種類の移動様式は、異なる細胞集団を反映したものではなく、同一の細胞の異なる移動段階を見ていたと考えられる。 2、BタイプからCタイプへの変化は皮質形成期の初期ほど早く起こり、後期ではBタイプで移動する時間が長くなる。 3、皮質がまだ出来ていない最初期の移動神経細胞は、Aタイプの移動様式をとることなく、Cタイプの移動により最終目的地にまでたどり着く。 4、Cタイプの細胞は、皮質投射性神経としての性質をもち、大脳基底核から来る介在神経のマーカーとは一致しない。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Tabata, H.: "Neurons tend to stop migration and differentiate along the cortical internal plexiform zones in the Reelin signal-deficient mice"Journal Neuroscience Research. 69(6). 723-730 (2002)
-
[Publications] 田畑秀典: "大脳皮質細胞の移動様式"蛋白質 核酸 酵素. 47(15). 1994-2001 (2002)
-
[Publications] 田畑秀典: "神経(発生過程における細胞移動)"Molecular Medicine. 40(臨時増刊号). 287-297 (2003)