2002 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞のスパイク応答系列の構造同定を目指した解析法
Project/Area Number |
14780634
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
横田 康成 岐阜大学, 工学部, 助教授 (00262957)
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Keywords | スパイク解析 / エントロピー / 最小2乗推定 / 不偏推定 / 距離空間解析 / スパイク列間距離 |
Research Abstract |
脳・神経系では,スパイク列と呼ばれるインパルス状の電気信号の列により,神経細胞同士が情報を交換し合うことにより,様々な情報処理機構を実現している.こうした情報処理機構を解明するためには,情報がスパイク列の中にどのように埋め込まれているか,言い換えると,スパイク列をどのようにコーディングし,情報を伝えているのかを明らかにする必要がある.スパイク列通信における情報理論の体系を構築することが最終目的となるが,当面の目標は,情報理論(Rate-Distortion Theory)の立場から,計測された神経細胞のスパイク列信号から,様々な情報を読み取るための手段,つまり解析法を開発することである. 本研究では,まず,スパイク列の情報量を推定することを目的として,エントロピーのより精密な推定法を開発した.ここでいうエントロピーは,いわゆるシャノンのエントロピーであるが,スパイク列に対し,こうしたシャノンのエントロピーを適用することを問題視する研究者も多い.しかし,これは,スパイク列の何が情報源記号,あるいは通信路記号になっているのかが未知であるがゆえに導かれた短絡的な結論,つまり誤解に過ぎないと考えている.以上についての研究成果を2度の国際会議で発表し,こうした誤解を解消するためのディスカッションを行ってきた. 更に,スパイク列における情報源記号(あるいは通信路記号)が何であるかを明らかにすることを目的として,(2)スパイク列の距離空間解析法を開発した.これにより,一定時問長の考えうるすべてのスパイク列の集合(空間)の中で,神経細胞から実際に出力されうるすべてのスパイク列の集合(空問)を距離空間上で区別することが可能になる.以上についての研究成果を4件の国内学会で発表した.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yasunari YOKOTA: "An entropy estimator with least square error"Proceeding of 24th Annual International Conference of the IEEE EMBS (Houston, USA). 188-189 (2002)
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[Publications] Yasunari YOKOTA: "An entropy estimator improving bias error"Proceeding of 2nd European Medical & Biological Engineering Conference (Vienna, Austria). 1320-1321 (2002)
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[Publications] 志賀元紀, 横田康成: "平均2乗誤差を改善するエントロピー推定量"計測自動制御学会,第17回生体・生理工学シンポジウム論文集. 151-152 (2002)
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[Publications] 坂口賢志, 横田康成: "自発的活動状態にある神経細胞のスパイク列出力の距離空間解析"計測自動制御学会,第17回生体・生理工学シンポジウム論文集. 347-348 (2002)
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[Publications] 坂口賢志, 横田康成: "神経細胞のスパイク応答の距離空間解析-自発的活動状態の同定-"電子情報通信学会技術研究報告. MBE2002-84. 45-48 (2002)
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[Publications] 坂口賢志, 横田康成: "自発的活動状態にある神経細胞のスパイク応答の距離空間解析"平成14年度電気関係学会東海支部連合大会講演論文集. 298-298 (2002)