2003 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー誘起衝撃音計測技術を用いたレーザー治療中のモニタリング技術の開発
Project/Area Number |
14780636
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
部谷 学 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40324818)
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Keywords | 歯牙硬組織 / レーザー歯科治療低侵襲化 / KBr-FTIR法 / 光学特性データベース化 / パルス切り出し装置高速化 / モニタリング技術 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は,レーザー治療時のモニタリング技術(治療の安全性実現にとって必須)の開発に先立ち,(1)照射前(フレッシュな)及びレーザー照射中の生体組織の光学特性の定量的な評価,(2)モニタリング技術の実証であった.本研究課題では,生体組織として歯牙硬組織(象牙質,エナメル質,象牙質)に着目した. (1)フレッシュな歯牙硬組織の光学特性を絶対値評価するために,粉末試料とKBr粉末を混合した試料サンプルをFTIRでスペクトル計測するKBr-FTIR法を導入した.そして,フレッシュな人歯・牛歯硬組織の光学特性(特に,吸収係数と反射率)の評価を行った.そして,4〜12μmの広範囲な波長領域に渡って硬組織光学特性のデータベースを作成した.このデータベースは低侵襲レーザーシステム設計のみならず,レーザー生体相互作用の理解にとっても極めて重要なものである.また,レーザー照射中の硬組織の光学特性を光音響法によって評価するために,平成14年度に引き続き,パルス切り出し装置の高速化(照射レーザーのパルス幅の短縮化)を図った.その結果,応力閉じこめを実現できるパルス幅50nsでのパルス切り出しが可能となり,光音響法による吸収特性絶対評価が可能となった.今後は音響信号の高速検出器の導入を行う必要がある. (2)レーザー歯科治療のリアルタイムモニタリングのために,レーザー照射中に発生する可聴音検出の有効性について調べた.その結果,可聴音の強度レベルや時間推移に関する情報は,生体相互作用の種類や時間変化と相関があることが分かった.このように,可聴音信号によるレーザー出力制御がレーザー歯科治療の低侵襲化に有効であることを明らかにした. 本研究課題で得られた知見は今後のレーザー歯科治療研究の発展を強く推進させるものであり,その他の組織の光学特性評価やモニタリング技術の実用化に向けた検証など,本課題を継続的に行う必要がある.
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[Publications] M.Heya, S.Sano, N.Takagi, Y.Fukami, K.Awazu: "Wavelength and average power density dependency of the surface modification of root dentin using an MIR-FEL"Lasers in Surgery and Medecine. 32. 349-358 (2003)
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[Publications] 永田博之, 部谷学, 佐野秀, 内園岳志, 橋新裕一, 粟津邦男: "中赤外FEL誘起音による歯根部象牙質表面改質のリアルタイムモニタリング"レーザー研究. 31. 342-347 (2003)
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[Publications] M.Heya, T.Saiki, K.Tsubakimoto, K.Awazu, M.Nakatsuka: "Design of a Dimple Mirror System for uniform illumination from an MIR-FEL"Nucl.Instr.and Meth.in Phys.Res.A. (accepted). (2004)