2014 Fiscal Year Annual Research Report
トゲウオにおける適応放散をひきおこす生態要因とゲノム要因
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14F03381
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
北野 潤 国立遺伝学研究所, 新分野創造センター, 特任准教授 (80346105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAVINET Mark 国立遺伝学研究所, 新分野創造センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 種分化 / 適応放散 / ゲノム / 遺伝 / トゲウオ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度中のラビネット博士の成果は以下の通りである。まず、既に研究室で解読していた日本海イトヨと太平洋イトヨの全ゲノム配列をpairwise sequentially Markovian coalescent (PSMC) modelにて解析し、日本海イトヨと太平洋イトヨの過去を推定した。その結果、日本海型は氷河期にいったんボトルネックを経験した後に、集団サイズを大きく上昇させたこと、分岐年代が約150万年前であることなどが推定できた。 つぎに、日本海イトヨと太平洋イトヨ、それに加えて大西洋イトヨについて、RAD-sequence法にて集団ゲノム解析を行った。多くのSNPは30倍以上のカバレージを満たしており、解析に十分なデータが得られた。 得られたSNPデータをもとにして、集団間の分化の指数(FST)を全ゲノムに渡って解析した。一部のゲノム領域でFSTの上昇している部位を同定できた。性染色体で上昇している傾向が観察され、これは性染色体が種分化に重要であるとする従来の成果と合致している。現在、この領域が、種間差の候補遺伝子とオーバーラップしているかどうか、新しい候補領域にどのような遺伝子が存在しているかを解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラビネット博士は計画通りに順調にデータを生み出し、新しい解析手法を次々に習得し、興味深い知見を多く生み出している。これらは、生態適応の遺伝基盤を考える上で必須の基盤情報であり、既に論文執筆に着手している。来年度も着実に解析を進めることで目標が達成できると十分に期待されるから。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、日本産イトヨの過去の推定についての知見を論文にまとめる。ついで、このSNP情報をもとにして、ABCシミュレーションを用いて、集団間の分岐年代と遺伝的流動nパターンの詳細を解析する。さらに、ゲノム上で種分化や適応進化にとって重要な領域を同定する。さらにこれらの領域が種間差の候補遺伝子とオーバーラップしているかどうか、新しい候補領域にどのような遺伝子が存在しているかを解析していく。
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Research Products
(3 results)