2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14F04006
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近藤 眞理子 早稲田大学, 国際教養学術院, 教授 (00329054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHORT Gregory 早稲田大学, 国際教養学術院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | CALL / 外国語学習 / 学習支援システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、コンピューターを用いた言語学習を支援するフレームの開発を目指している。昨今、コンピューターを使った言語学習支援システム(CALL)は、数多く存在するが、言語学習はその環境、学習者、学習目的、担当教員により、様々な形態があり、同じ教科書を使ったとしても、一律の授業形態はありえない。しかしCALLは組み込まれた形式を変えて利用することは通常できず、そのためには高度なコンピュータープログラミング等の知識が必要である。しかし、それを一般の語学の教員に求めることは現実的でない。従って、様々な言語に対応し、学習目的にあったCALL教材を作成できるフレームの構築を行っている。 一年目の26年度は、複数のデータベースを使い、対象言語の音声特性を調査することから始めた。まず、日本語を含め様々な言語で、母音の長短は単語の判別に重要な機能を持つので、母音の長短を自動的に判別するCALLシステムを構築中である。単純に母音の長短と言っても、対象言語の音素体系、音節構造などの韻律体系、発話速度による母音そのものの継続時間の変化及び、全体の発話長との関連等により、母音の短長の知覚・認識は異なり、それを自動的に判別することは容易ではないが、これまでの実験では、ある程度正確に判定ができるようになっている。 また、発音評価のアルゴリズムを試し、その結果を2月にマレーシアで開催された国際学会で発表した。その際に受けた様々な助言を生かして、現在さらにシステムの精度が上がるよう、改良を進めている。また、並行して進めている音声発話コーパスを使った日本語話者の英語の発話特性の分析の結果も複数の国際学会で発表した。 これまでの研究成果を専門誌"Speech and Communication"に投稿し、査読結果を反映させた修正版を既に再提出済みで、採否の結果待ちである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の対象が複数の言語であるため、システムの構築が複雑で、時間がかかっている。また、購入した音声データベースが、販売元の手違いで到着が遅れたため、分析の開始が遅れ、全体的に若干遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
一年目の成果をもとに、二年目は当初の目的であった、多言語に対応した学習支援システムの構築を目指す。母音の長短に加えて、今年は日本語を含めた促音などの特殊拍の分析と、様々な音節構造にも対応できるよう自動音声認識の精度が向上するよう研究を進める。また学習者の発音の精度の自動判定システムの構築を引き続き行う。昨今、コンピューター、特にタブレット端末などを積極的に教育の現場に導入する事例が増えてきている。それらの現状に対応するため、開発中のCALLシステムはPCとiOSのどちらでも作動できるものを目指している。具体的には、8-9月にかけて、日本語話者の英語発話の特性について、イギリスで行われるICPhSで研究成果の発表を行う。また、10月には上海で開催されるO-COCOSDAで、コーパスの分析とシステム構築に関する研究発表ができるよう、現在準備中である。 一年目に行った研究発表に対するフィードバックを受けて、システムそのものや不具合を修正しており、秋頃には実際に現場で外国語教育に携わっている教員に、CALLシステムを試してもらう。意見等を聞いた上で、さらなる修正を施し、最初は学習目的や用途がある程度限られるであろうが、実際の教育現場で使えるコンピューター支援言語学習のフレームとして、公開できるレベルにまで持っていきたい。 既に修正版を"Speech and Communication"に再提出済みであるが、順次他の専門誌にも成果を投稿していく予定である。 この一年研究所続けてきて、様々な学習目的に言語に対応するシステムもさることながら、対象言語のを限らないシステムの構築には、さらなる音声解析が必要であると実感している。音声解析を行うための音声データベースが整っていない言語も多い。システムの開発と並行して、研究費の許す範囲で、さらに音声コーパスを集めて、様々な言語の音声特徴の解析も続けて行っていく予定である。
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Research Products
(7 results)