2015 Fiscal Year Annual Research Report
キラルなビス(トリアゾリウム)の創製と有機イオン対触媒としての応用
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14F04035
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大井 貴史 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 教授 (80271708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CORBETT MICHAEL 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | トリアゾリウム / 光励起カルボニル / 均一開裂 / ラジカル反応 / ヒドロホルミル化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度を迎え、キラルなビス(トリアゾリウム)を有機イオン対触媒とした反応開発をさらに進展させる一方で、分子性触媒の科学における世界的な研究の動向と、将来の方向性を考慮し、「カルボニル化合物の触媒作用」に焦点を移し、選択的なラジカル反応の開発を目指して研究を進めた。 近年、光増感剤を触媒とする選択的な有機化学反応の開発が著しい進展を見せている。しかし、古くから知られている励起カルボニルを触媒として用いたラジカル反応の開拓は遅れており、未だ発展段階にあると言える。このような背景を踏まえ、ベンゾフェノンを筆頭とする芳香族ケトン類の光励起に基づく触媒作用の新たな可能性を拓くことを目的とした。中でも、ケトンの光励起によって生じるジラジカルが、炭素-水素結合の均一開裂を伴って水素を引き抜く力を備えていることに着目し、これを起点とするオレフィンの形式的なヒドロホルミル化反応を標的に選び、ケトンの構造と触媒活性との相関を調べるところから研究を開始した。 ベンゾフェノンを基本骨格として、その構造修飾と触媒活性との相関を365 nmのLEDを用いた光照射下での不飽和カルボン酸へのジオキソランの付加反応において詳細に評価した。その結果、反応を効率良く促進する新たな二官能性触媒の創製に成功した。カルボキシル基を認識できる官能基の導入位置等、必須となる構造要件を各種コントロール実験によって明確にするとともに、本反応の基質一般性を精査し、適用可能な不飽和カルボン酸の置換パターンを明らかにした。保護されたアミノ基を有する基質を許容するなどの特徴も認められる一方で、現状での適用限界が課題として浮かび上がった。しかし、本研究の成果は、カルボニル化合物の設計によって光駆動型のラジカル反応における反応性を制御し得ることを示しており、より力量あるカルボニル触媒を開発する確かな基盤となる。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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