2014 Fiscal Year Annual Research Report
イネの鉄過剰応答の分子メカニズムの解明と鉄過剰耐性イネの作出
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14F04079
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
西澤 直子 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (70156066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AUNG May SANN 石川県立大学, 生物資源環境学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | イネ / 鉄過剰 / 分子応答 / 植物栄養学 / ミャンマー |
Outline of Annual Research Achievements |
中国南部や東南アジアなど稲作が盛んな地域の多くでは、土壌の性質上、イネの鉄過剰症が起こりやすく、これが原因で、世界で毎年8000万トンの収量が失われている。そこで、本研究では、イネの鉄吸収や体内輸送の分子メカニズムに関する当研究室のこれまでの知見に基づき、イネの鉄過剰応答の分子メカニズムの解明を目指すことを目的とした。 しかしながら、イネの鉄過剰の処理方法や鉄過剰における生理学的応答は、当研究室でこれまで取り組まれていなかった。また、イネの鉄過剰処理における生理学的応答については様々な報告があるものの、鉄過剰の処理方法は、報告によって異なっていた。 そこで、前年度 (9月開始) では、まず、イネに水耕栽培にて、様々なレベルの鉄過剰ストレスを与え、鉄過剰ストレスの強さと、生育への影響 (草丈、根長、葉の褐色化の度合い、葉や根の金属濃度の変化等) との関係を明らかにした。 また、鉄過剰時のイネの遺伝子発現の変化をマイクロアレイにより解析した。その結果、鉄過剰ストレスにより発現の変化する遺伝子が多数確認され、イネの鉄過剰耐性に関わる遺伝子の候補が見つかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は昨年度の9月から開始した。鉄過剰のマイクロアレイ実験等を始める前に、イネの鉄過剰処理方法を充分に検討し、イネの様々な鉄過剰処理による生理学的影響を把握しておく必要があり、それに想定以上に時間がかかった。しかしながら、イネの鉄過剰処理の条件を充分に検討したため、マイクロアレイで非常に有効な実験データを得ることができた。従って、研究実施の全体の進展状況は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイ結果により得られた鉄過剰に関わる候補遺伝子のうち複数について詳細な解析を行い、鉄過剰状態におけるこれらの遺伝子の機能を明らかにする。 また、鉄栄養に関わる遺伝子のプロモーターGUS導入イネを用いて、鉄過剰条件での遺伝子の発現部位を調べる。さらに、鉄栄養に関わる遺伝子を高発現・または発現抑制した形質転換イネを鉄過剰条件での栽培時の表現型を観察し、鉄栄養関連遺伝子の鉄過剰条件における役割を調べる。これにより得られた知見をもとに、鉄過剰耐性をもたらしうる遺伝子発現カセットを作り、イネに導入し、高い鉄過剰耐性能を持つイネの作出を目指す さらに、ミャンマーで現在栽培されているイネ品種等を、鉄過剰条件で栽培し、表現型を調べ、鉄過剰耐性能力を持つイネのスクリーニングを行う予定である。
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