2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14F04083
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
磯貝 明 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (40191879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LAVOINE Nathalie 東京大学, 農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | セルロース / ナノファイバー / TEMPO / 温度応答性 / ドラッグデリバリー / PNIPAm / ナノコンポジット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、当研究室で見出した新規バイオ系ナノファイバーである、TEMPO酸化セルロースナノファイバー(TOCN)に、熱応答性高分子であるポリN-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)をイオン結合、あるいは化学結合(アミド結合)で、ポリマーブラシ状に複合化することで、温度によって構造が変化する新規ナノ材料の創製に向けて、関連する基礎研究を検討している。まず、TOCN表面に高密度で存在するカルボキシル基と、末端アミノ化PNIPAm間でのアミド化反応効率を、条件を変えて検討した。TOCNのPNIPAmとのアミド化では、TOCNとPNIPAm間でのイオン結合部分を除去して、アミド化反応効率を検討しなければならないため、そのための条件設定を行った。その手法に基づいてアミド化反応効率を検討したところ、最大でもTOCN表面の全カルボキシル基の35%にとどまっていた。しかし、TOCN/PNIPAm反応物の熱安定性を検討したところ、元のTOCNの熱分解開始温度が200℃であったのに対し、300℃以上となった。TOCNを利用する上での課題の一つに、熱安定性の低下(元のセルロースは300℃で分解開始)、それによる黄色化があげられる。したがって、本研究結果から、TOCNの耐熱性付与の手法の手掛かりを得ることができた。また、TOCN表面のカルボキシル基に、イオン結合で末端アミド化PNIPAmを導入する方法では、カルボキシル基のほぼ100%を末端アミノ化PNIPAmでアミン塩型で導入することができた。しかし、イオン結合でPNIPAmを導入した場合には、TOCNの耐熱性は向上できず、元の200℃と同程度であった。すなわち、PNIPAm基の導入効率という点では、イオン結合型のTOCN/PNIPAm複合体に優位性があり、一方、耐熱性の付与という観点ではアミド結合型のTOCN/PNIPAmに優位性が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一時期、PNIPAmのメーカーのストックがなくなったため、実験を進めることができない時期があったが、その間は低分子アミノ化物質を用いたモデル実験により、アミド化反応効率の検討と、イオン結合によるアミノ基導入TOCNの耐熱性の検討などを進めることができた。また、TOCNのアミド化反応効率の検討の過程で、TOCNの課題であった耐熱性の付与が可能であるという結果が得られたことは貴重で、既に年度内に米国の特許申請を行った。更に、国際誌への投稿論文作成の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果に基づき、低分子量アミン化合物を用いるモデル実験によるTOCN表面のカルボキシル基に対するアミド化反応の検討と、高分子であるPNIPAmをイオン結合あるいはアミド結合で導入したTOCN/PNIPAm複合化物の、温度に対する構造変化、熱応答性、包接薬剤成分の徐放性等を検討していく。また、これまでの研究成果を国際誌に投稿すべく、原稿作成を進める。
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Research Products
(3 results)