2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14F04303
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒田 卓 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (70195593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALIMU Tuoheti 東北大学, 国際文化研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 中国イスラーム / 日本におけるイスラーム研究史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の大きな枠組みは、「日本におけるイスラーム認識と研究の足跡」とし、研究代表者は主に西アジア、とくにイランを介して日本人が得たイスラーム理解・認識の歴史的な変遷を追跡し、他方分担者の阿里木(ALIMU)は、従前より蓄積してきた日中の儒学やイスラームの思想交流史に関する知見を基に、主として日本における中国イスラームの研究史に関わる総合的な調査・分析を担当する。 初年度である平成26年度は、イスラーム専門諸機関の関係資料、専門雑誌、及び満鉄諸機関、民族研究所、帝国学士院などの関係者による調査報告など、とくに戦前の中国イスラームに関わるあらゆる素材を網羅的に所在調査・収集することを課題とした。 上記の課題に沿って、分担者は平成26年12月半ばより約2週間、東京に滞在して資料を収蔵する諸機関を訪問し、所在調査と収集(主に複写)に当った。すなわち、東京大学綜合図書館、同東洋文化研究所資料室、同文学部資料室、国立国会図書館、早稲田大学中央図書館、及び東洋文庫などで精力的に資料調査収集を実施した。その結果、東北大学中央図書館などでは入手できなかった貴重な学術論文71件、著書7件(例えば『支那回教文献の解説』、『満州国の回教徒問題』、『支那・南洋及印度の回教徒』など)を複写し、現在集めたこれら資料群を整理し鋭意分析を進めているところである。 また東京大学東洋文化研究所ではイスラーム思想史の専門家と面談し、研究遂行上価値ある助言を受けた。東京出張中に、首都大学東京南大沢キャンパスで開かれた中国イスラームとムスリムについての研究成果報告会に参加し、若手の研究者たちとの研究交流を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究計画は、ほぼ順調に進んでいる。ただし、分担者は妻が出産のため、日本学術振興会の許可を得て、昨年12月末より2ヶ月間、研究期間を中断し、一時帰国を余儀なくされた。現在、研究を再開し、意欲的に研究を進展させている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度も引き続き、中国イスラームに関わる調査報告や文献資料などの調査・収集のための作業が中心になるが、それらに加えて分析・考察作業も精力的に推進する。 前者では、夏季に早稲田大学などの東京の諸機関、10月頃には、京都大学をはじめとする関西の諸機関での資料調査・収集を実施する。 後者では、代表者の所属講座での研究発表を皮切りに、6月にはアメリカの学会で研究発表を行い、研究交流や資料調査を進める。また考察作業では、とくに日本における戦前の中国イスラーム研究を対象に、1931年の満州事変を画期とし、その前後の研究動向と特徴を抽出する。その成果として、日本語による学術論文を少なくとも1篇執筆する予定である。
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