2014 Fiscal Year Annual Research Report
熱重合可能な相補的ユニットによって制御される光応答性単分子膜の自己集合
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14F04341
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 建児 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80262145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FRATH Denis 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | フォトクロミズム / 自己組織化 / STM / 協同性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、アミド基とアルキル鎖を持つ3-チエニル型のジアリールエテンについて、開環体、閉環体、縮環体のそれぞれについてオクタン酸/HOPG界面上でSTM観察を行い、その配列様式と表面被覆率の濃度依存性について調べた。その結果、いずれにおいても水素結合した2次元配列が確認され、濃度依存性の実験より、開環体は低い協同性の配列、閉環体は高い協同性の配列、縮環体は非常に高い吸着の平衡定数を持つ配列であることが分かった。また、開環体と閉環体では伸長の平衡定数がほぼ同じとなり、配列形成に伴う安定化エネルギーはアルキル鎖に依存することが示唆された。閉環体に開環体を混合した溶液では、閉環体の格子の配列形成が閉環体のみの濃度で予測されるより高い被覆率が観測されたことから、2次元混晶が形成されていることが示唆された。また、開環体に閉環体を混合した溶液では、開環体の格子の配列形成が認められたが、開環体のみのときには見られなかった、高い協同性の配列形成が認められた。系中での紫外光照射実験では、閉環体の配列の形成は認められず、これは、生成した閉環体が開環体配列に取り込まれたと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々のグループでは、以前、今回実験に用いたジアリールエテンにおいて、開環体配列に紫外光を照射すると縮環体配列が生成することを見出しており、今年度は、この現象の原因を明らかにすることを当初の目的とした。今回、表面被覆率の濃度依存性を調べることにより、配列形成のメカニズムを詳細に検討することができ、閉環体は開環体より高い協同性を持つこと、縮環体は高い吸着の平衡定数をもつこと、開環体と閉環体は混晶を形成することなどが明らかとなった。おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、(1)なぜ縮環体は高い吸着の平衡定数を持つ配列になるのか、(2)開環体と閉環体は混晶を作るが縮環体とは作らないのか、(3)このような現象は他のジアリールエテンでも見られるのか、などの新たな疑問を解決するような実験を行っていくことを予定している。
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Research Products
(2 results)