2014 Fiscal Year Annual Research Report
共進化と発生可塑性に基づく適応型ソフトロボットの構造・行動のデザイン
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14F04349
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
有田 隆也 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (40202759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JOACHIMCZAK Michal 名古屋大学, 情報科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 進化ロボティクス / 人工発生 / 形態制御共進化 / メタモルフォーゼ / 発生的可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は進化ロボティクスと変態(morphogenetic)工学の境界領域に位置付けられる.まず,進化プロセスと多細胞化のシミュレーションの方法論を研究して,ロボットの形態とコントロールの自動デザインを可能とする.特に本研究では,収縮拡張しながら移動するような柔軟な構造をもつソフトロボットに焦点を合わせる.これにより,斬新な動きやユニークな能力をロボットに与えることを狙っている. この目的のために,細胞分裂によって体構造を自己構成する物理シミュレーションのための新しい方法論を開発した.そのような体構造は,仮想環境で力学的なシミュレーションを行うことによって,その移動能力が評価される.この方法論の妥当性と潜在能力を再確認し,さらに洗練を進めた. その方法論に基づき,新しい進化的計算アルゴリズムである「新規性探索」のソフトロボットの体構造のデザインにおける有効性を検討した.評価実験の結果,体構造と制御機構の共進化のような複雑な問題に対して,新規性探索は,NEATのような最新鋭のアルゴリズムを上回る性能を示すことが明確に示された. これと並行して,我々は,別の発生プロセスである(幼生から成体への)「変態」を導入することを検討した.具体的には,必要に応じて2つの異なる環境に適応するようなロボットの形態の自動デザインである.実験を行い,水中ではおたまじゃくし,その後,陸上では足を成長させ尾をなくしてカエルのような形態をとり,それぞれの環境に適応した動作をする仮想生物の進化に成功した.これは,我々が意図的にデザインしたものではなく,進化が発見した,両性類のライフサイクルのような複雑で生命に見られるような解であり,我々のアプローチの潜在的な可能性を示している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り,仮想環境として,陸上環境だけでなく水中環境も設定して,新規性探索の有効性を検討した結果,現在,最有力視されている手法を上回った性能を示したことは大きな成果であった.人工生命に関わる国際会議でこの成果をフルペーパー論文として発表した.ジャーナル論文も現在,投稿準備中である.また,変態を導入したモデルに関しても意義のある成果をあげており,有力な国際会議であるECALに投稿し,現在,査読中である.
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Strategy for Future Research Activity |
順調に研究が進行中であるので,事前の計画通り研究を遂行していく.その研究においてもっとも重要な部分は,発生に関わる別の生物学的概念を導入することにより,現在進行中の研究を拡張,強化することである.それは「発生的可塑性」である.これは個体発生の際に,環境の状況に応じて,発生の過程や結果を適応的に変更する性質を意味する.発生的可塑性の適用可能性を,環境に応じて異なった形式に成長してくようなロボットの自動デザインのデモンストレーションによって示すことを目指す. これと並行して,ソフトロボットのデザインの進化可能性の改良に関わるアイディアの検討も開始する.具体的には,細胞がお互いにコミュニケーションを行い,環境状態を検知するような能力を与えることによって,歩行の質や頑健性を向上しうるか検討する.また,新しいタイプの材料(たとえば硬度やエネルギー消費にバリエーションを持たせる)を導入することにより,進化プロセスで生成される形態にいかなる影響を与えうるか検討する.
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