2014 Fiscal Year Annual Research Report
排水の飲用再利用プロセスにおけるエンドトキシンの制御
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14F04372
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
船水 尚行 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10113622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GUIZANI Mokhtar 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | エンドトキシン / 下水処理 / 凝集処理 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度はLPS(リポサッカライド)エンドトキシンの凝集処理プロセスにおける挙動について検討した.本検討の目的は下水処理システムの処理水中に含まれるLPSエンドトキシン除去を行う最適条件を得ることにある. 実験には札幌市内の下水処理施設(標準活性汚泥法)の処理水を採水して用いた.実験では凝集条件を変化させ,LPSエンドトキシン除去率の関係を検討した. 実験より,次の結果を得た:1.処理水を凝集処理することにより,LPSエンドトキシンの除去率は最大71%に達する,2.凝集剤添加率を増加させると,LPSエンドトキシン除去率も増加するが,一定以上の添加率ではその増加効果が見られなくなく,3.凝集条件のうちpHについて検討した結果,pH=6.5が最適と判断された. また,下水処理水の利用(農業灌漑利用)に関する研究も開始した.この項目では,処理水中に含まれる窒素成分,塩分の土壌中における挙動のシミュレーションを目的とし, Hydrus 1D modelによるシミュレーションを可能となるように,パラメータのチューニング等を実施し,実験結果と計算値の比較により,その妥当性を検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
下水処理水からのLPSエンドトキシン除去について,順調に実験・検討が進んでいる.特に極めて短期間の間に実験装置を立ち上げ,下水処理水中のLPSエンドトキシンの凝集処理に関する最適な運転条件について知見を得ている. この結果をもとにIWA(世界水協会)が開催するSpecialist Groupの会議に論文を投稿できるデータを得ることができている. 下水処理水の利用に関する項目では,2015年8月にベルギーで開催される国際会議で発表を予定している.
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Strategy for Future Research Activity |
下水処理水中LPSエンドトキシン除去について,凝集処理に関する実験を継続する.特に,最適な運転条件に関する検討では,統計的な手法を導入し,室内実験でカバーできる範囲のパラメータに加え,関連するパラメータの影響も考慮した解析を実施する計画である. また,下水処理水の利用に関する研究では,得られている実験結果を整理し,かつ,開発したシミュレーションモデルによる計算を行うことにより,土壌中での窒素・塩分挙動に関する論文を執筆する予定である.
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