2014 Fiscal Year Annual Research Report
ハナバチ類における社会性の起源:発現遺伝子解析とフェロモン分析によるアプローチ
Project/Area Number |
14F04386
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川北 篤 京都大学, 生態学研究センター, 准教授 (80467399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GROOM Scott 京都大学, 生態学研究センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | シオカワコハナバチ / コハナバチ科 / 社会性 / トランスクリプトーム解析 / フェロモン分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハナバチ類における真社会性の進化は、陸上生態系におけるハナバチ類の繁栄をもたらし、それによってハナバチ類は現在、植物の最も重要な花粉媒介者となっている。ハナバチ類における真社会性は、ミツバチ科とコハナバチ科で合わせて5回独立に起源しているが、そのうちの2回がコハナバチ科で起きている。本研究の目的は、北海道から屋久島まで広域に分布し、種内で社会性についての多型が見られるシオカワコハナバチをモデルとし、コハナバチ科において社会性がどのような生態的条件のもと、どのような分子メカニズムによって生じたのかを明らかにすることである。 本年度11月に本研究課題を開始したため、野外調査をもとにしたデータ収集はできなかったが、文献調査、および研究協力者から得られた情報などをもとに、次年度行う野外調査に関して十分な準備ができた。また、次年度行うトランスクリプトーム解析、およびフェロモン分析に関しての条件検討を行った。本年度の成果を踏まえて、次年度は野外で得られたサンプルから十分なデータが得られると期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は11月開始であり、野外でのシオカワコハナバチの研究には時期が遅かったため、本年度は次年度行う野外調査やトランスクリプトーム解析、フェロモン分析の準備に集中した。文献調査や研究協力者との議論を通して、野外調査地の選定やサンプルの分析条件の検討を行い、次年度の研究にむけて十分な準備ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は4月から7月にかけて札幌のシオカワコハナバチ集団において、社会性巣の女王と働き蜂、および単独性巣のメスを十分な数採集し、これらの間で発現パターンが異なる遺伝子を調べることで、社会性の成立や維持に関わる遺伝子を特定する。また、コハナバチの体表からフェロモンを抽出し、カスクロマトグラフ質量分析計で分析することで、女王に特有の体表物質が存在するかどうかを明らかにする。
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