2015 Fiscal Year Annual Research Report
ハナバチ類における社会性の起源:発現遺伝子解析とフェロモン分析によるアプローチ
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14F04386
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川北 篤 京都大学, 生態学研究センター, 准教授 (80467399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GROOM SCOTT 京都大学, 生態学研究センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ハナバチ / 社会性 / シオカワコハナバチ / コハナバチ科 / 発現遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、社会性の有無について種内で多型が見られるシオカワコハナバチを用いて、多型をもたらす遺伝子的背景についても研究を行った。シオカワコハナバチの札幌集団では、同じ集団の中で、メスが働き蜂を生産して社会性の巣を作る場合と、単独のまま繁殖を行う場合がある。春世代のメスはすべて単独性であるが、夏世代では多型が現れる。シオカワコハナバチの札幌集団の春世代のメス、夏世代の単独性メス、夏世代の社会性巣の女王および働き蜂からRNAを抽出し、次世代シーケンサーによって分析することで、発現遺伝子のプロフィールを得た。これらのデータをもとに現在、社会行動の違いをもたらしていると考えられる遺伝子の特定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、シオカワコハナバチの札幌集団から目的とする個体を十分な数得ることができ、RNAの解析結果の質も良好である。データの解析にはまだ時間を要するが、社会行動の違いに応じた発現遺伝子の違いが明らかになると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに発現遺伝子についてのデータは順調に得られているため、今後は発現遺伝子の違いがどのような表現型と結びついているのかを明らかにすることを目指す。具体的には巣内でカースト分化を維持する「女王フェロモン」のような物質が存在するかどうかを、体表炭化水素の分析から明らかにする。アリ、スズメバチ、マルハナバチでは非揮発性の炭化水素が女王フェロモンとして機能していることが分かっていることから、シオカワコハナバチでも女王が同様の炭化水素の生産しているのか、もししているとすれば発現遺伝子にそのような物質の生成に関わるような遺伝子が見られるのか、を明らかにする。
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