2014 Fiscal Year Annual Research Report
シアリダーゼの共有結合阻害を指向した抗インフルエンザ薬の開発
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14F04392
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清田 洋正 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (30234397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VAVRICKA Christopher 岡山大学, 環境生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | シアル酸 / インフルエンザ / シアリダーゼ / 阻害剤 / 有機フッ素化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規なインフルエンザ治療薬の開発は、パンデミックに備えるために重要な課題である。これまで、ウィルスの出芽段階で機能するシアリダーゼを標的とした創薬が展開され、リレンザ、タミフル等が上市されてきたが、頭痛、異常行動などの副作用や抵抗性株の出現が問題となっている。我々は既にインフルエンザ・シアリダーゼが、Tyr406残基の関与する二重反転機構で進む保持型グルコシダーゼであることを、2,3ジフルオロシアル酸と酵素との共結晶のX線結晶構造解析や組換え酵素によるシアリルラクトースの加水分解により明らかにしてきたが、更に高活性な化合物の設計と合成を行った。、2α,3α-ジフルオロ置換基を有するシアル酸を基本母核化合物として、各種官能基の置換を試みた。これ迄の知見から、4位にグアニジル基の導入、7/8位にメトキシ基など脂溶性官能基の導入を検討した。また、9位ヒドロキシ基の修飾も試みた。シアル酸のヒドロキシ基のアセチル基による保護とカルボキシ基の脱炭酸を同時に行う反応において、温度条件が重要であることを明らかにした。即ち、アセチル化した後、エステル化を行う際、温度を徐々に上昇させるとカルボキシ基と7位ヒドロキシ基の間でラクトン環を形成する反応が主となった。ここでは急激な加熱条件で昇温することで収率選択性よくエステル化を行うことが可能となった。多種のエステル型誘導体の調製を可能にする重要中間体を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
11月に来日し、本格的に実験を開始して4か月未満であるが、既にタミフル・リレンザに代わりうるインフルエンザ・シアリダーゼ阻害剤開発に向け、各種エステル誘導体の作成に必要な鍵中間体の効率的合成法を確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
実験を開始して4か月、特に支障は生じていない。当初の研究方針通り進める予定である。即ち、合成した鍵中間体から、ジフルオロ置換基を有する各種エステル誘導体を合成する。高価なシアル酸以外の化合物を出発原料とする合成経路についても検討する。
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