2014 Fiscal Year Annual Research Report
分権型森林ガバナンスを分析するための分解可能な社会生態系アプローチ
Project/Area Number |
14F04393
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 真 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (10232555)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOHAMMED Abrar Juhar 東京大学, 農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 社会生態系 / 資源利用者 / 資源システム / 資源単位 |
Outline of Annual Research Achievements |
1992年より世界の15カ国、250箇所の森林を対象とする森林状況、人々の生計、ガバナンスの特性など膨大なデータを有するIFRI(International Forestry Resources and Institutions)のデータベースを活用する資格を得るため、Abrar Juhar Mohammedがミシガン大学にあるIFRIを訪問した。IFRIのデータは、森林景観の社会生態系(SES)の異なる側面に関する10のデータ群で構成されている。今回はそのうちの9のデータ群から246の変数を選択しデータを入手した。そして、収集した変数を次のように類型化した―基礎的情報:15変数、従属変数(社会的成果:5変数、環境的成果:22変数)、独立変数。最後の独立変数を分析枠組に沿ってSESの6つの特性に類型化した。つまり、「資源システムの特性」(14変数)、「ガバナンスの特性」すなわち説明責任(19変数)、所有権などを含む意思決定の特性(94変数)、ルールの特性(5変数)、「アクターの特性」すなわち森林利用者の森林への依存度合い(17変数)、年齢(1変数)、規模(2変数)、識字率(1変数)、異質性(3変数)、その他の社会経済的側面(14変数)、森林ガバナンスに関係する森林利用者集団以外のアクターの特性(24変数)、そして「外生的・内生的な文脈要因」(10変数)である。 それと同時に、IFRIの中心人物でありコモンズ論の牽引者であるArun Agrawal教授との議論を通して、研究内容へのアドバイスを受け、さらに今後の協力への合意を得た。 また、SESのデータを使った分析に取り組んでいる数少ない機関であるメリーランド大学国立社会環境統合センター(SESYNC)を訪れた。研究所長および研究員らとの面会を通し、今後の情報交換と協力への合意を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した計画をほぼそのまま実行したので、順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究により、今後の研究を2つのフェーズに構成する必要性が明らかになった。 フェーズ1:IFRIで入手したデータは、8つのエクセルファイル(1つ当たり471から120, 858の変数)に入力されている。これをまずは試行的に分析し、独立変数と従属変数の指標となりうる複合的な変数を作成する。その後で、適切な統計分析を実施し、仮説検証に必要な独立変数と従属変数の関係をモデル化する。 フェーズ2:フェーズ1の結果に基づき。エチオピアで調査地を選定し、モデルの妥当性を検討するためのデータ収集を行う。 上記の2つのフェーズの研究成果を原著論文として国際ジャーナルに投稿するとともに、学会で発表する。
|