2015 Fiscal Year Annual Research Report
分権型森林ガバナンスを分析するための分解可能な社会生態系アプローチ
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14F04393
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 真 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (10232555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOHAMMED Abrar Juhar 東京大学, 農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 森林保全 / 農山村の生計 / 社会生態システム・フレームワーク / ガバナンス / REDD+ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、IFRI(International Forestry Resources and Institutions)から入手したメタデータの分析を行い、原著論文2編を仕上げた。 まずは、8カ国77箇所で収集されたIFRIのデータに基づき、外部アクターとの協働により持続可能な社会生態システムを実現している森林のガバナンス・管理の要因を特定した。その結果、植林への外部アクターの関与、森林の手入れ作業、森林利用者間での便益割り当てが持続可能な社会生態システムの実現に貢献している一方で、モニタリングや制裁措置への外部アクターの関与、地元住民の収穫権の移転は負の影響を与えていることが判明した。 次に、7カ国83箇所で収集されたIFRIのデータに基づき、REDD+の文脈において持続可能な社会生態システムを決定づける森林、森林利用者、ガバナンスの特性を明らかにした。その結果、森林のサイズ、森林から産出される非木材森林産物(NTFP)の多様性、森林利用者間のネットワーク、森林利用に無関係な組織による紛争解決や便益割り当てに関するルール作りが持続可能な社会生態システムの実現に貢献していた。一方、森林から森林利用者の居住地までの距離、森林利用に無関係な組織による森林の保護や収穫量および制裁措置に関するルール作りは非持続可能な社会生態システムを生み出していた。 最後に、持続可能な社会生態システムの特性を明らかにするため、エチオピアの3箇所にてAHP(階層分析法; Analytic Hierarchy Process)および世帯調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの収集、分析、論文の投稿ともに順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、前年度にエチオピアで実施した調査のデータを分析し、原著論文として投稿する。森林の社会生態システムの定量分析手法はこれまで手薄だったが、エチオピアの実証データ分析により、持続可能な社会生態システムのための要因間の相対的な重要性を一対比較するのにAHP(階層分析法; Analytic Hierarchy Process)を活用する方法が有効である可能性が高い。そこで、アジアの2カ国(フィリピンとインドネシア)において同じ方法を使って研究を行い、一般化が可能かどうか検証する。そして、その結果を原著論文として投稿する。
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