2014 Fiscal Year Annual Research Report
治療用核酸頭蓋内送達システムの開発と脳神経系難病治療への展開
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14F04406
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
位高 啓史 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60292926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIN Chin-Yu 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | mRNA / アルツハイマー病 / ネプリライシン / 脳室内投与 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は以下の3点を検討を行った mRNAの作成、調製:アルツハイマー病原因物質のβアミロイド分解酵素であるネプリライシンを発現するmRNAの構築を行った.GFPタグ化,タンパク発現効率を高めるためのPoly(A)鎖長配列組み込みを行い,培養細胞でのネプリライシン発現,GFPタグの発現を確認した.また発現したネプリライシンのβアミロイド分解活性を評価するため,βアミロイド分泌能を持つ細胞として,神経系株化細胞のほか,初代培養株神経(ニューロン)細胞を用い,ネプリライシン発現mRNAのtransfection後,培地中のβアミロイド濃度をELISA法にて測定したところ,発現したネプリライシンがβアミロイド分解活性を持つことを確認した.同じネプリライシン配列を持つプラスミドDNAベクターも併せ構築し,mRNAと比較したところ,株化細胞においてはプラスミドDNAベクターが高い効率を示す一方,細胞分裂しない初代培養株細胞では,mRNAの方が高い効率を示し,非分裂細胞に対しても導入能を持つmRNAの特徴が確認された. 動物への投与法確立:mRNAを搭載した高分子ミセル型キャリアの脳室内投与の技術的問題を解決し,ルシフェラーゼなどレポータータンパクを発現するmRNAの投与を行った.投与後摘出した脳組織におけるルシフェラーゼ発現の定量的評価や,IVISによる経時的な観察により,タンパク発現を最大化するためのキャリア調製法、投与プロトコールの最適化を行った. アルツハイマー病疾患モデルマウスの検討:疾患モデルとして,βアミロイド脳内注入モデルを検討し,アミロイド注入法を確立し,脳摘出サンプルからの脳内アミロイド濃度の定量法を確立した. これらのセットアップにより,mRNAを脳内に投与によるβアミロイド分解を目的とする治療実験の準備は完了し,今年度末より実験を開始している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にも記したように,mRNA構築,機能検証,キャリア最適条件確立,脳室内投与に関わる技術的問題の解決など,治療実験遂行に関わるセットアップは今年度中に全て終了し,治療実験を既に開始している.当初の計画以上に進展しているものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り,mRNA投与による脳神経系難病治療に向けたPOC取得を目指す.
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