2014 Fiscal Year Annual Research Report
ブロードバンド光ハーベスト技術の開発と次世代太陽電池への応用
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14F04733
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
喜多 隆 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10221186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WU Xiaojie 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 量子ドット / 太陽電池 / エネルギー変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽電池は光子のエネルギーを直接電気に変換する点で非常にユニークである。半導体のpn接合を利用した太陽電池では、透過損失と熱損失などによって変換効率は最大でも30%程度になってしまう。特に、バンドギャップより小さなエネルギーの光が入射しても吸収されずに生じる透過損失が最も大きく、50%を超える次世代型の太陽電池の開発には透過損失の抑制が不可欠である。本研究では、バンドギャップ中に中間バンドを設けることによって従来は透過していた近赤外域の光を2段階の光励起によって効率よく吸収し、広帯域にわたって分布するブロードバンド太陽光スペクトルの光ハーベストを実現し、光電流を大幅に増加させて50%を超える太陽電池の実現を目指す。具体的には、InAs/GaAs量子ドット超格子によって中間バンドを形成し、中間バンドに励起した電子の励起・緩和過程を明らかにし、光励起効率を制御して高効率な2段階光励起を実現を目指す。 本年度はInAs/GaAs量子ドット超格子による中間バンドの制御技術を確立するため、下記の研究を実施した。 (1)分子線エピタキシー技術を用いて、GaAs(001)基板にInAs/GaAs量子ドット超格子を作製した。量子ドット超格子からの光吸収スペクトル、発光スペクトルの励起光強度依存性、あるいは発光ダイナミックスを詳しく調べることによって、基底準位と励起準位の超格子特性を明らかにした。 (2)量子ドット層間のGaAs層の厚みを制御して波動関数の広がりが異なる基底準位と励起準位に対して電子的結合をすることによって、励起準位ミニバンドを介して効率よく空間分離されたキャリアの寿命が長くなることを実証することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量子ドット層間のGaAs層の厚みを制御して波動関数の広がりが異なる基底準位と励起準位に対して電子的結合をすることによって、励起準位ミニバンドを介して効率よく空間分離されたキャリアの寿命が長くなることを実証することに成功した。当初空間分離は予測していたが、その効果が光励起効率に影響するほど大きいことが明らかになり、今後の太陽電池における特性の向上に期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の点に注目して研究を実施し、キャリアダイナミックス制御にかかわる重要な因子を解明していきたい。 (1)量子ドット超格子バンド(中間バンド)を介した2段階光励起過程を明らかにするため、量子ドット超格子を真性層に含むpn接合太陽電池を試作し、バンド間を励起する第1励起とサブバンド間で中間バンドの電子を伝導バンドに励起する第2励起による2色分光を実施する。主たる申請消耗品の光学部品は2色分光で使用する。 (2)第1励起光と第2励起光の波長を独立に変えて、生成される光電流を精密に調べる。一連の実験によって、どの準位に電子を励起した時に最も効率の良い第2光励起が生じるかを明らかにし、電子の励起・緩和過程の詳細を通じて、重要な因子と考えられる電子の寿命の影響を明らかにする
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Research Products
(8 results)