2014 Fiscal Year Annual Research Report
促進酸化と生物処理のハイブリッドシステムを用いた抗生物質系廃水の浄化
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14F04734
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
李 玉友 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30201106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NIE Yulun 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 環境技術 / 排水処理 / 製薬廃水 / 促進酸化 / 嫌気性処理 / MBR / 界面活性剤 / メタン発酵 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、抗生物質生産廃水の処理とリスク管理に適した省エネルギー・低炭素型の高効率的処理技術を確立することである。具体的には、抗生物質分解の促進方法として新しい触媒を検討して酸化分解を効率よく行う新規促進酸化技術を創出するとともに、促進酸化によって生成する中間生成物を膜分離生物処理ユニットによって生物分解を行うことで、新規促進酸化と膜分離生物分解のハイブリッドデザインを用いた製薬系抗生物質含有廃水の新規処理システムを構築しようとするものである。平成26年度には次のような具体的成果が挙げられた。 (1)促進フェントン酸化による難分解性有機物の分解:SMXなど5種類の難分解性物質を選んで、フェントン酸化と過酸化水素酸化による分解効果を把握したとともに、pHや共存イオンの影響を解析した。 (2)嫌気性膜分離反応槽に関する検討:界面活性剤は一般的に嫌気性処理では除去されにくく微生物に対して毒性も有する。そこで本研究では,界面活性剤の排出量の中でも特にその割合が多いAE(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)およびLAS(直鎖ベンゼンアルキル酸ナトリウム)に着目し,それらが嫌気性MBR 内汚泥のメタン生成活性に対して与える影響をメタン生成活性試験により評価した。実下水に含まれる程度の界面活性剤濃度では汚泥の活性に対して大きな阻害は起きないことがわかった。そして,界面活性剤を含有する人工下水を用い,嫌気性MBR による下水処理の処理性能をリアクターを用いた連続実験を行った結果,メタン生成活性試験の結果と同じく実下水に含まれる程度の界面活性剤濃度では嫌気性MBR の処理性能に顕著な影響は与えないという結果が得られた。また,界面活性剤の除去性能については,嫌気性MBR においてもAE は良好に除去されるが, LAS の除去は難しいことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は新規促進酸化と膜分離生物分解のハイブリッドデザインを用いた製薬系抗生物質含有廃水の新規処理システムを構築しようとするものであるが、平成26年度では、新規促進酸化方法の創出や嫌気性膜分離法の検討においてそれぞれ成果を挙げることができ、当初計画した目標はおよそ達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度はおおむね計画通りの成果が得られたので、平成27年度以降は、新規促進酸化と嫌気性膜分離生物分解の二つのユニットに分けて次の3項目の小テーマに取り組む予定である。 (1)促進酸化ユニットの検討: OHラジカルの発生効率および代表的抗生物質に対する酸化分解反応を解析することで、最適酸化条件を確立する。 (2)嫌気性膜分離反応槽による界面活性剤の分解: 嫌気性膜分離反応槽を用いた排水処理の連続実験を行い、基質中における界面活性剤の濃度を段階的に向上させて、その分解挙動を把握する。 (3)微生物反応に及ぼす抗生物質影響の評価:硫酸塩還元、硝化、酸生成およびメタン生成などの排水処理に関わる様々な代謝反応に及ぼす抗生物質の種類と濃度の影響を把握する。
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