2014 Fiscal Year Annual Research Report
位相的ソリトンによるブレーンワールド模型の動的構築とブレーンダイナミクスの理解
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14F04750
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
衛藤 稔 山形大学, 理学部, 准教授 (50595361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BLASCHKE Filip 山形大学, 理学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ブレーンワールド / 余剰次元 / トポロジカルソリトン / 国際研究交流 / チェコ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、標準模型を超える新しい物理の候補である余剰次元模型、特に標準模型のゲージ階層性問題を自然に解決し得るブレーンワールド・シナリオについて5次元時空中のドメインウォールをブレーンと見なすことでより自然な模型の構成を目指す。これまでの先行研究ではドメインウォール上に質量0のノンアーベリアンゲージ場とアジョイント表現に属する0質量スカラー場を局在させることに成功している。 研究初年度は、研究期間が4ヶ月間と短いため、研究実施計画にあるように、特にこれまでの研究で扱ってこなかったカイラルフェルミオンの局所化や基本表現のヒッグス場の導入について、他の研究者による先行研究を検討し様々な可能性を考えた。具体的にはドメインウォールで大統一理論(GUT)を実現する先行研究(R. Davis, D. George, R. Volkas, Phys. Rev. D77, 124038 (2008))や、高次元時空の特徴をうまく利用したヒッグスを必要としない細谷メカニズムとドメインウォールによるブレーンワールド・シナリオ模型を詳細に検討した。特にドメインウォールGUT模型は、カイラルフェルミオンとヒッグスをドメインウォール上に局所化することに成功しているが、一方で非可換ゲージ場の局所かについてはDvali-Shifman機構を仮定している。そこで、我々の先行研究で示した非可換ゲージ場の局所化機構と合わせることで,ドメインウォールによる標準模型の実現、またはDvali-Shifman機構を仮定しないドメインウォールGUTが実現され得ることが判明し、現在、具体的な模型の構築に向けた準備を行っている。 また、別テーマとしてノンアーベリアン・ボーテックスによる、ブレーンワールド・シナリオの構築も検討しているが,これはほぼ数値計算などが終わり、成果をまとめる段階にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究機関は4ヶ月と短期間であるため,研究結果を研究論文としてまとめるには至っていないが, 研究実施計画どおりに、衛藤とF.Blaschkeが携わった先行研究である2研究Arai,Blaschke,Eto,Sakai(PTEP2013,010003/PTEP2013093B01)で明らかにした非可換ゲージ場のドメインウォールへの局所化のメカニズムと、他の研究者による先行研究であるカイラルフェルミオンやヒッグス場をドメインウォールに局所化させるメカニズムを融合するために、Phys. Rev. D77, 124038 (2008) などの関連論文を詳細に検討し、Dvali-Shifman機構を「仮定」せずに、より自然に,非可換ゲージ場(ベクトル場)/物質場(カイラルフェルミオン場)/ヒッグス場(スカラー場)の全てをドメインウォール上に局所化することが可能であることが分かってきた。現状では、ヒッグス場がゲージ群の基本表現ではなく随伴表現のもののみに限られているが、ドメインウォール上に標準模型を実現することが可能である模型を構築するための準備を行っている段階である。 また,non-Abelianボーテックス/ドメインウォールによるブレーンワールド・シナリオを構築する可能性についても平行して研究を進めてきている。先行研究で、ドメインウォールとボーテックスの複合系について、ドメインウォールに終えるボーテックス紐の端点がドメインウォール上で双対電荷として働くという現象が明らかになっている。これについて、数値計算などを用いて,これまで明らかにされてない新しい現象を発見し、現在研究論文として発表する準備を行っている。 このように実施計画から大きくずれること無く計画を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
先ずは、現在計算を進めている non-Abelian ボーテックス/ドメインウォール系によるブレーンワールド・シナリオに関する研究を完成させる。現在までに,必要な数値計算はほぼ終えていてるので、基本的には既に得られている結果をまとめ研究論文として発表し、研究会などで発表する。 5次元時空中のドメインウォールによるブレーンワールド・シナリオの構成については,先行研究(R. Davis, D. George, R. Volkas, Phys. Rev. D77, 124038 (2008))で明らかにされたカイラルフェルミオンの局所化機構と、Arai,Blaschke,Eto,Sakai(PTEP2013,010003/PTEP2013093B01)で明らかにされた非可換ゲージ場の局所化を組み合わせて,ドメインウォール上に標準模型が自然にのる模型を構築する。先行研究では随伴表現に属するヒッグス場のみが扱われているので,基本表現の場を局所化する方法を新たに構築する。また、超対称性を持つゲージ理論の枠組みで模型を構築しているので,これまでのGUTドメインウォールを拡張して自然にSUSY GUT理論がドメインウォール上に現れる可能性を探る。標準模型やGUTに必要な全ての場を同時に局所化させる模型を作ることが難しい場合は、幾つかの段階に分けて研究を進め、段階的に結果をまとめ発表する。
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