2015 Fiscal Year Annual Research Report
チョウザメ類における種および雑種判別のためのDNAマーカーの開発
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14F04751
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒井 克俊 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 教授 (00137902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAVELKA MILOS 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 水産学 / 農林水産物 / 発生・分化 / バイオテクノロジー / 遺伝学 / 倍数体 / 交雑育種 / 希少種 |
Outline of Annual Research Achievements |
交配実験に用いたミカドチョウザメ、ダウリアチョウザメの親魚が純粋種であるか否かの検討をこれら2種を含むチョウザメ類8種183尾のミトコンドリアDNA調節領域の塩基配列とマイクロサテライト(MS)DNAマーカー9座を解析することで行った。その結果、親魚はいずれもミカドチョウザメ、ダウリアチョウザメのクラスターの中にあり純粋種と判定した。 次に、ミカドチョウザメ純粋種同士とミカドチョウザメ雌とダウリアチョウザメ雄の異種間交配より得た遺伝的二倍体2n(機能的四倍体4n)と遺伝的三倍体3n(機能的六倍体6n)について多型的なマイクロサテライトDNAマーカー5座について解析した結果、遺伝的3nは母系特異的なアレルを父系に比較して多く受け継ぐことが判明した。従って、ゲノム倍加(遺伝的3nの出現)は卵の自発的な第二極体放出阻害に原因があると結論した。遺伝的3nの一部の座のNSマーカー型からマーカー-動原体間の遺伝地図距離推定ができ、染色体の動原体側にある座とテロメア側にある座の推定ができた。本成果を取り纏めた原稿を国際学術誌に投稿し、現在審査中である。 さらに、ベステル(オオチョウザメ雌×コチョウザメ雄)雌×シロチョウザメ雄、シロチョウザメ雌×シロチョウザメ雄、シロチョウザメ雌×ベステル雄の通常授精群と圧力処理群について、6~7MS座を用いて分析したところ、各雑種が両親種のゲノムを含むこと、そして、圧力処理群では第二極体放出阻害の結果ゲノム倍加(遺伝的三倍体化)が起きていることが判明した。また、利用したMS座の動原体からの地図距離推定もできた。 本研究により純粋種であることが遺伝的に確認できたチョウザメ類を対象とした次世代シーケンスを用いた分析に着手した。また、白血球培養により染色体標本を作製する技術を確立し、ベステル×シロチョウザメ雑種の染色体分裂像(約190-200本)が観察できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載したとおり、ミトコンドリアDNAの塩基配列および複数のマイクロサテライトDNAマーカー座を用いた分析を8種183尾の参照標本について調べ、交配実験の材料と比較することで正確な種判別を達成した。また、交配と染色体操作から生じた遺伝的二倍体、遺伝的三倍体についてマイクロサテライトDNAマーカー座の分析から、両親種の関与と第二極体放出阻害を確認した。以上により種・雑種判別が明確となった材料を用いた次世代シーケンサを用いた分析が可能となり、目下進行中である。分子細胞遺伝学的な解析には到らなかったが、別途、血液培養によりチョウザメ類の染色体標本作製が可能となった。また、一部成果は論文として発表するほか、投稿することもできた。 以上の様に予定した研究を実施できたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シーケンス技術により、今回の種判別で純粋種であることが明らかになった標本についてRADシーケンスを実施し、種に特異的なパターンを持つコンティグを同定し、さらに種判別、遺伝解析に有用なマーカー候補を拾い出す。 あわせて今までの交配実験より得られた両親と子孫の複数標本セットを活用して、過去の進化的スケールによるゲノム重複に由来する機能的に四倍体(進化的には八倍体)であるチョウザメ類における遺伝様式解明を複数のマイクロサテライトDNAマーカー座について行う。 血液より得た白血球培養による染色体標本作製法が確立できたので、可能な範囲で分子細胞遺伝学的な解析を行う。 現在までの結果を取り纏め、学会での口頭あるいはポスター発表、論文発表を目指す。
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Research Products
(3 results)