2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14F04753
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 郁朗 東京大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40305496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ANTONOVA Daniela 東京大学, 薬学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 薬用植物 / ブルガリア / 生理活性成分 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヨーロッパ東南バルカン地方原産Sidertis scardica Griseb.は抗菌、抗酸化、鎮痙作用を有する薬用植物である。これまでに、多くのSidertis属についての成分研究がなされており、テルペン、フラボノイド、精油、イリドイド、クマリン、リグナン、ステロールといった様々な化合物群が単離報告されている。さらにその中で、ジテルペン、フラボノイド、精油が主成分であり、薬理作用の活性物質であることが明らかにされている。しかしながら、特定の地理的条件で生育した株のみがこのような有用化合物を含み、薬理作用を示すことが知られており、Sidertis属、特にS. scardica Griseb. は乱獲が問題視され、採取が制限されている。この問題を解決するために、本研究では、様々な環境条件(土壌、高度、気候)において生育したS. scardica Griseb.のメタボローム解析を行い、薬効成分であるジテルペンやフラボノイドなどが多く含まれている株を探索し、重要な環境要因を模索する。また、得られた化合物に対して多様な生理活性試験を行い、新たな生理活性を有する新規二次代謝化合物の探索も目的とした。 昨年度は、ブルガリアで様々な環境条件において生育したS. scardicaを採取し、参照解析としてまず、薬理作用が見出されたS. scardicaのメタボローム解析を行った。具体的には、植物粗抽出物のHPLCプロファイリング(溶出時間、UVスペクトル)、既存データベースを用いた代謝物解析、LC-MSによる化合物の分子量データベース化などを行った。また、特徴的な化合物の単離精製をし、新規化合物を探索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブルガリアで様々な環境条件において生育したS. scardicaを採取し、参照解析としてまず、薬理作用が見出されたS. scardicaのメタボローム解析などが、ほぼ当初の計画通り順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、参照解析と同様の手法により、異なる環境条件で育成した株のスクリーニングを行い、有用な活性を有する二次代謝化合物生産に重要な条件を特定する。このとき抽出を複数の溶媒で行うことで二次代謝産物を網羅的に解析する。さらに、それぞれの株から生理活性を指標とした二次代謝化合物の単離精製をし、生理活性を有する新規二次代謝化合物を探索する。以上の結果をまとめ、論文として学術誌に投稿する。
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