2014 Fiscal Year Annual Research Report
対相関を取り込んだ多体ダイナミックスと2核子放出崩壊現象への応用
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14F04769
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
萩野 浩一 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20335293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SCAMPS Guillaume 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 対相関 / 核分裂 / 量子トンネル効果 / 時間依存法 / 平均場理論 / 半古典論 / 崩壊幅 / 共鳴状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子核の自発核分裂は多次元量子トンネル現象の典型的な例であり、また、対相関がそのダイナミックスに重要な役割を果たす。これに関連して、時間依存アプローチに基づき崩壊幅を求める新しい方法を提唱し、それを自発核分裂に対する2次元模型に適用した。この方法では、遠方において外向きフラックスを吸収する吸収ポテンシャルを導入し、それを含めたハミルトニアンを対角化することにより共鳴状態の波動関数と共鳴エネルギーを求める。この吸収ポテンシャルは共鳴状態(ガモフ状態)に対する外向き波境界条件を実効的にシミュレートするものであり、そのように求めた共鳴エネルギーの虚部が崩壊幅に対応する。また、得られた波動関数から2次元フラックスを求め、フラックスの主要な成分が半古典的なトンネル経路に沿うこと、また、そのフラックスが半古典的なトンネル経路の量子揺らぎを自然な形で含むことを明らかにした。さらに、初期時刻においてポテンシャル障壁の内部に閉じ込められている波束の時間発展を追うことにより、系の時間発展を視覚的にとらえ、多次元トンネルのダイナミックスを議論することができる。この方法を半古典近似と比較し、半古典的なトンネル経路に沿って系の密度が時間発展することも明らかにした。これらの成果は原著論文として Physical Review C 誌に発表するとともに、12月に原子力研究開発機構(JAEA)で行われた核分裂に関する国際ワークショップ等で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた2核子放出崩壊に対する対相関の研究を行う前に、対相関が重要となる別の動的プロセスである自発核分裂の計算を行った。新しい方法の提唱や半古典近似とのよい対応などの興味深い結果が得られ、Physical Review C 誌への掲載決定に至った。順調に研究が進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度前半は核分裂の計算を引き続き行い、その後2核子放出崩壊及び2中性子移行反応の計算に進みたいと考えている。特に、対相関を敏感に反映する核分裂の慣性質量の研究を進める予定である。時間依存アプローチに基づく慣性質量の新たな計算法の検討をはじめており、予備的な結果が既に出始めている。
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Research Products
(3 results)