2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14F04770
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
羽田 正 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (40183090)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE JU-LING 東京大学, 東洋文化研究所, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 台湾 / グローバルヒストリー / 植民地 / 身体 / 文明化の使命 / 裸体 |
Outline of Annual Research Achievements |
日清戦争に勝利して自らの軍事力への自信を深めた日本は、19世紀末に台湾統治を開始する。当時の日本政府や植民地当局が、様々な理由で台湾に渡った日本人に対して、支配者のあるべき姿を体現するために、どのような指示を出してその「身体」の統御を試みようとしたのか、また、日本臣民となった台湾の人々が例えば中国大陸に渡ったときにどのような行動をとったのかを明らかにすることが本研究の目的である。 そのために、植民地期初期の台湾で適用された違警罪を、明治時代初めの日本における違式ちゅう違条例と比較することによって、台湾史という枠組みの中でではなく、グローバル・ヒストリーのアプローチによってこれらの問題を論じようとした。具体的には、この二つの法令がどのようにして制定され、どのような文脈でどのように実施されたかを詳細に比較・分析した。この手法により、文明、人種、社会階級などの概念と修辞が用いられながら、「日本人」という概念の境界が、植民地台湾で次第に定まってゆく様を明らかにした。本来日本人、台湾人を問わず適用されるはずの違警罪は、ほとんどの場合、日本人、それも植民地支配の体制が整えられた直後に日本列島各地から海を渡ってやってきた下層の人々の裸体を禁じる場合にのみ適用されていることが明らかとなった。特に、娼婦がしばしば用いた細帯を禁じる際に、違警罪が多く適用されていた。それが、日本人による台湾社会の「文明化の使命」に反する風俗だったからである。 他方、植民地当局は、台湾人の「文明化」にも意を用い、特に、女性の纏足や男女の裸足での歩行を禁じた。それは、明治初期に日本人自身がたどった道であり、植民地の台湾住民が文明化し、日本人となるためには必須の条件だと考えられたからである。 この研究成果は、日本研究の分野で国際的に権威のある2種類の雑誌に論文として発表されている。
|
Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(4 results)