2014 Fiscal Year Annual Research Report
拡張現実技術の現象学的応用-生活世界のよりよいデザインの構築にむけて-
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14F04782
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
長滝 祥司 中京大学, 国際教養学部, 教授 (40288436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIBERATI Nicola 中京大学, 国際教養学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 拡張現実 / 地平 / 現象学 / フッサール / 身体 / 生活世界 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①拡張現実技術が現象学のいう生活世界にいかなる変容をもたらすかを予測し明らかにすること、②拡張現実技術によって生じる社会的多様性について勘案し、この技術をどのように応用発展させるかを考察すること、の二つである。2014年度は、主として、①についての基礎的な研究を中心に行った。具体的には、長滝祥司とニコラ・リベラティの共同作業として、近年のフッサール研究を踏まえながら、「生活世界」、「地平」、「間主観性」といった現象学的概念を再検討した。加えて、拡張現実について現象学的視点からの概念的検討を行った。とりわけ、地平概念については、技術による知覚変容という観点から展開を試みた。以上の成果は、二つの学会(うち一つは国際学会)、論文として発表された。このほか、現在、共著論文をEthics and Technology誌に投稿し、Reviewerからの指摘を受けて改訂し、再投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度は5ヶ月弱という短い研究期間であったが、共同研究のための議論の機会を多くもうけ、研究概要の①で述べた問題に取り組むことが出来た。また、それが、国際学会での発表、国際ジャーナルへの投稿というかたちで具体的な成果となって現れている。以上が、研究がおおむね順調に進展していると自己評価した理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は、2014年度に行った基礎的研究を土台にして、より展開された成果を目指す。具体的には、拡張現実技術がいかなる方向にむかいつつあるかを踏まえて、生活世界を現実的にどのように変容するかについて検討し、この技術のもつ意味を現象学的に考察する。さらに、生活世界の間主観性と拡張現実の間主観性はどのように調停されうるかについて検討し、それをふまえた上でこの技術の功罪について議論を展開し、生活世界のよりよいデザインを構想する。本年度は、拡張現実技術を専門とする研究者たち(慶應義塾大学の稲見昌彦氏ら)との討議を重ね、現象学的観点からの当該技術の検討材料とする。以上の成果は、2015年6月にアメリカで開催されるAugmented World Expoと、2015年11月にピサで開催予定のISMAR (International Symposium on Mixed and Augmented Reality) で発表し、科学技術の哲学の国際ジャーナルである、Techné: Research in Philosophy and Technologyおよび Ethics and Information Technology, 社会科学の国際誌であるHuman Studiesなどに単著論文、共著論文として投稿する計画である。
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Research Products
(3 results)