2014 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動とポスト２０１５年ＳＤＧｓのガバナンス：低開発途上国のコンテクストから
| Project/Area Number |
14F04790
|
|---|
| Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
|---|
Principal Investigator |
蟹江 憲史 東京工業大学, 大学院社会理工学研究科, 准教授
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AZAM M.M. 東京工業大学, 大学院社会理工学研究科, 外国人特別研究員
|
|---|
| Keywords | 持続可能な開発目標(SDGs) / ミレニアム開発目標(MDGs) / 環境ガバナンス / 持続可能性 / 気候変動 / 後発開発途上国(LDCs) / 科学技術政策 / 技術移転 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
今年度は選択したいくつかの国、特にバングラデシュにおいて、環境の持続可能性を高め、また持続可能な開発目標(SDGs)に向けて国家が準備する上での、環境ガバナンスのギャップの問題に取り組んだ。また、ミレニアム開発目標(MDGs)を達成するための開発指標および環境の持続可能性に関連する決定要因を通じて、バングラデシュや他の国家における環境ガバナンスをめぐる現在の進捗状況を研究した。
さらにケース・スタディとして、後発開発途上国(LDCs)の観点から、SDGsや国連気候変動枠組条約(UNFCCC)プロセス、国連持続可能な開発委員会(CSD)や環境ガバナンスに関するスタディを行うためバングラデシュを訪問した。Chittagong大学、Premier大学およびSouthern大学の研究者にインタビューを行い、Southern大学では初期の研究結果について発表した。また、国内およびローカルなレベルで政府がとり得るアプローチや、SDGsのプロセスに関わるステークホルダーやローカルな国連の事務所がもつ認識を理解するため、バングラデシュの環境省の役人、SDGsに取り組むNGO、国連開発計画(UNDP)と協働するガバナンスに関する専門家やローカルな専門家にインタビューを行った。この成果として、研究推進に重要な、バングラデシュの環境ガバナンスやSDGsの現状に関する資料を収集することができた。他方、スウェーデンを訪問し、SDGs、UNFCCCやCSDプロセスおよび環境ガバナンスへの理解を深め、将来的なネットワークの形成・維持に従事した。その結果、環境ガバナンスやSDGs、気候変動問題に関する非常に有益な情報を得た。これらはSDGsへの準備や移行に向け、国内およびローカルなレベルでの環境ガバナンスの取り組みに対し、有益な知見を提供し得ると考える。こうした研究結果に基づき論文執筆も行った。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
評価の理由として、今年度すでにバングラデシュとスウェーデンにおいてケース・スタディを実施し、関連する文献のレビューを行ったことがあげられる。その上で、ケース・スタディにより得られた知見と既存研究とのギャップを踏まえ、研究の課題および目的を明確にし、研究の全体構造を再構成している。また、本研究に関わる主要なステークホルダーを特定し、今後のフィールドワークに向けて適宜連携を図っている。さらに、学会やジャーナルのために複数のアブストラクトを提出しており、前向きな評価を得た投稿論文の1つは2015年12月までに出版されることになっている。次年度は、当該研究領域に属する共著者とともに本を執筆する予定である。
|
| Strategy for Future Research Activity |
今後は、文献のレビューを継続して行う一方、さらなる一次資料を収集するために引き続きフィールドワークを行うとともに、将来的な共同の研究ネットワークを構築する。こうして得られる、国際・国内・ローカルレベルでのSDGsの実施ならびに環境ガバナンスの有効性に関する研究成果に基づき、査読付きの学術論文を執筆し学会発表を行う予定である。これにより、関連する研究領域において、将来の政策決定に貢献し得ると考える。また、独自の方法論的な研究アプローチを採用し、環境ガバナンスの役割や、環境と開発を両立するアプローチがいかに持続可能な開発を補完し得るかについて理解するための手法を開発する。
|
Research Products
(1 results)
