2014 Fiscal Year Annual Research Report
食品中の多剤耐性病原菌の分子生物学的手法による解析
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14F04912
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島本 整 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (90187443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AHMED Ashraf 広島大学, 生物圏科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 薬剤耐性菌 / β-ラクタマーゼ / インテグロン / キノロン耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究において,以前に単離していたエジプトの食肉と乳製品由来の薬剤耐性の食中毒起因菌(赤痢菌)の解析を行った。単離した27株の赤痢菌(Shigella spp.)の中で24株(89%)が少なくとも3つ以上の異なるグループの抗菌剤に耐性を示す多剤耐性株であった。アミノグリコシド,テトラサイクリン,ナリジクス酸などに耐性を示す株が90%以上であった。また,耐性遺伝子としては,β-ラクタマーゼ遺伝子,プラスミド性キノロン耐性遺伝子,インテグロンなどが高い割合で見つかった。この結果は,食品由来の赤痢菌としては初めてのものである。 また,現在,エジプトにおいて単離したヒト臨床由来の薬剤耐性菌を解析しており,これまでに薬剤耐性菌の単離,菌種の同定,耐性の薬剤の同定を終え,現在,薬剤耐性遺伝子の解析を進めている。 一方,日本の市販の水産食品より薬剤耐性菌を分離し,詳細な解析を行った。この研究では,200株以上の細菌を水産食品より分離し,薬剤耐性について解析を行ったところ,β-ラクタマーゼ遺伝子,インテグロン(クラス1),プラスミド性キノロン耐性遺伝子などを保有している菌が見つかった。特に,Citrobacter freundiiより見つかったCMY β-ラクタマーゼ遺伝子であるCMY-39遺伝子は新規のCMY遺伝子であった。この結果については,現在論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の当初の計画では,(1)薬剤耐性菌の単離,(2)菌種の同定,(3)耐性の薬剤の同定,を行うことになっていた。これまでのところ,エジプトの臨床分離株について,これらの計画は終了し,薬剤耐性遺伝子の解析に進んでいる。また,以前からの継続研究であったエジプトの食品由来株(食肉,乳製品由来)と日本の食品由来株(水産食品由来)については結果をまとめ,論文として報告している。 以上の内容から考えて,「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,引き続きエジプトより単離した臨床分離株を中心に解析を進める。これまでは,グラム陰性菌を中心に解析を進めてきたが,今年度はグラム陽性菌(Staphylococcus,Enterococcusなど)についても解析を進める。さらに,日本の食品由来薬剤耐性菌については,野菜や果物など生で食べる食材を中心に薬剤耐性菌を分離し,解析を進める。そして,得られた結果を詳細に解析し,日本とエジプトの薬剤耐性菌について,比較を行う。
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Research Products
(1 results)