2003 Fiscal Year Annual Research Report
極地氷床における物理過程の解明とそれに基づく気候・環境変動史の高分解能解析
Project/Area Number |
14GS0202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本堂 武夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60109494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 英器 北海道大学, 総合地球環境学研究所, 助教授 (20001662)
堀 彰 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (60280856)
白岩 孝行 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (90235739)
飯塚 芳徳 弓削商船高等専門学校, 講師
藤田 秀二 国立極地研究所, 助教授 (30250476)
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Keywords | 氷床 / アイスコア / 気候変動 / 地球環境変動 / 氷床流動 / 結晶組織 |
Research Abstract |
本研究は、氷床における様々な物理過程の解明を行うと共に、各地で採取されたアイスコアの高分解能解析を実施し、種々のシグナルの意味と信頼性を明らかにして、気候変動期に特有な地球環境変動の詳細を明らかにすることを目的とする。 本年度の研究実績は、以下の通りであり、当初の予想を超える新たな事実が明らかになってきた。 (1)アイスコアの微細構造の解析:不純物等の分布をSEM-RAMAN装置および顕微ラマン散乱測定装置によって詳細に調べた結果、氷に含まれる化学種のはとんどが1μm前後の微粒子として存在することを見出した。これは、これまで結晶粒界にあるとしてきた定説を覆すものであり、アイスコア研究のまったく新たな展開が始まると考えている。今後、さらに詳細な解析を行うとともに、エアロゾルからの形成過程および氷床における反応過程の研究を進める。 (2)アイスコアの高分解能解析とシグナルの形成過程:各地で採取されたアイスコアを用いて、これまでの手法だけではなく、X線CTおよびマイクロ波複素誘電率プロファイルを新たに加えて、フィルン圧密過程における結晶形の変化や結晶方位分布の異方性にこれまでにない細かい変動を見出すとともに、その変化過程を明らかににした。この成果は、氷床流動シミュレーションに有用であるばかりでなく、レーダーサウンディングデータの解釈にもつながるものである。 (3)氷床の流動解析とコア年代の推定:ドーム位置では、高分解能解析で得られた時間軸と氷床流動の結果として生ずる結晶方位分布の変化から堆積速度の推定が可能であることを示した。また、ドームFujiコアの年代に関して、これまでに様々な年代スケールが提案されているが、これらをまとめて比較し、現時点でもっとも信頼性の高いと思われる年代決定を行った。この年代軸と氷の結晶方位分布などの影響を取り込んだ氷床流動シミュレーションの比較が次の課題である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Fujita, S.: "Scattering of VHF radio waves from within an ice sheet containing the vertical-girdle-type ice fabric and anisotropic reflection boundaries"Annals of Glaciology. 37. 305-316 (2003)
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[Publications] Hondoh, T.: "Physical properties of the Dome Fuji deep ice core"Memoirs of National Institute of Polar Research, Special Issue F. 57. 63-71 (2003)
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[Publications] Hori, A.: "Theoretical study on the diffusion of gases in hexagonal ice by the molecular orbital method"Canadian Journal of Physics. 81. 251-259 (2003)
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[Publications] Okuyama, J.: "Physical properties of the P96 ice core from Penny Ice Cap, Baffin Island, Canada, and derived climatic records"Journal of Geophysical Research (Solid Earth). 108・B2. ECV6-1-ECV6-12 (2003)
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[Publications] Salamatin, A.N.: "Air-hydrate crystal growth in polar ice"Journal of Crystal Growth. 257. 412-426 (2003)
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[Publications] Iizuka, Y.: "SO_4^<2->minimum in summer snow layer at Dome Fuji, Antarctica, and the probable mechanism"Journal of Geophysical Research. 109(in press). (2004)