2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14GS0217
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中辻 博 京都大学, 工学研究科, 教授 (90026211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 重樹 京都大学, 理学研究科, 教授 (20113425)
榊 茂好 京都大学, 工学研究科, 教授 (20094013)
波田 雅彦 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (20228480)
江原 正博 京都大学, 工学研究科, 助教授 (80260149)
長谷川 淳也 京都大学, 工学研究科, 助手 (30322168)
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Keywords | 化学原理 / シュレーディンガー方程式の厳密解 / 理論精密分光学 / 生命量子論 / 巨大分子系 / 凝縮系 / 相対論的量子化学 / 遷移金属錯体 |
Research Abstract |
1.量子化学基礎理論の精密化と再構築:原子・分子系のシュレーディンガー方程式(SE)の正確な解を求める一般的方法(ICI法)を確立し、相対論的Dirac-Coulomb方程式(DCE)の一般的解法へ拡張した。相対論的DCEの解を求める際にはSEにはない変分崩壊の問題が起こり得るが、逆ハミルトニアンの手法を用いることでこれが解決され、1電子系だけでなく多電子系のDCEの正確な解を求めることに成功した。また、変分崩壊を避ける別の方法は、基底関数の大成分と小成分にある関係式(バランス)を保つことである。ICI法ではこの関係式が自動的に満たされることを確かめ、これをICI balanceと名付けた。このように、相対論の効果も含めた究極的な厳密解を得る方法を確立することができた。これらの方法を基礎に、非相対論、相対論共に、より大きな系の厳密解を求めるためにモンテカルロ法を導入し、原子・分子に応用した研究を進めている。 2.理論精密分光学と反応の量子ダイナミクス:SAC-CI法の新たな計算法であるダイレクトアルゴリズムを発展させ、エネルギーグラジエントや相対論的な方法への展開を行った。内殻電子過程を効率的に記述するOR-SAC-CI法の開発を行った。有機EL素子であるfluorene-thiopheneの光吸収・発光過程を明らかにした。カルコゲン(Ch=S, Se, Te)を含む化合物の励起状態とCDスペクトルをSAC-CI法によって計算し、C2-ruleやuadrant rule、及び実験的傾向を解析した。 3.巨大系に共通する電子状態理論:巨大系の電子状態理論を開発した。既存の方法で可能なサイズの分子集合体の基底状態及び励起状態に応用し、高精度の結果を得ることに成功した。さらに、現状の計算機では既存の方法による計算が困難な巨大系に応用することに成功した。 4.生体反応系の電子論とダイナミクスの解明:ホタルの発光メカニズムに関する研究を行い、ホタルの緑色発光が実はketo型からの発光であり、蛋白質との相互作用により緑色発光することを初めて明らかにした。Fe_2S_2クラスターの電子状態とスピン構造について、RISM-SCF法と多体摂動理論に基づく研究を行い、還元過程における溶媒和の役割を明らかにした。 5.凝縮系における反応の電子論とダイナミクス:溶液反応における自由エネルギー面上のconical intersectionを求める方法の開発を行い、エチレンとCH_2NH_2^+の溶液内化学反応の理論研究を行った。アセトニトリル溶液中における4-(N, N-Dimethylamino)benzonitrileの分子内電子移動過程に関する研究を行った。 6.遷移金属錯体の構造と触媒反応のメカニズム:触媒作用に関連する大きなπ共役系分子の金属錯体の理論計算にはDFT法でなく、post Hartree-Fock法の適用が必要であること、分散相互作用とleft-right相関の考慮がDFT法では不十分なことを明らかにした。また、典型的な触媒反応である交差カップリング反応の反応機構を明らかにし、反応促進に必要な因子を解明した。 国際会議の開催:本研究課題の成果発表の場として、第12回国際量子化学会議を来年度に開催する。この国際会議に必要な物品の購入を行った。
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Research Products
(38 results)
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[Journal Article] Vibrationally Resolved C and O ls Photoelectron Spectra of Carbon Monoxide2006
Author(s)
M.Matsumoto, K.Ueda, E.Kukk, H.Yoshida, T.Tanaka, M.Kitajima, H.Tanaka, Y.Tamenori, K.Kuramoto, M.Ehara, H.Nakatsuji
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Journal Title
Chem. Phys. Lett. 417
Pages: 89-93
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[Journal Article] Symmetry-Resolved Vibrational Spectra of Carbon K-shell Photoelectron Satellites in Carbon Monoxide : Experiment and Theory2005
Author(s)
K.Ueda, M.Hoshino, T.Tanaka, M.Kitajima, H.Tanaka, A.De Fanis, Y.Tamenori, M.Ehara, F.Oyagi, K.Kuramoto, H.Nakatsuji
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Journal Title
Phys.Rev.Lett. 94
Pages: 243004-1-4
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