2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14GS0316
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武藤 誠 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (70281714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 正伸 金沢大学, がん研究所, 教授 (40324610)
青木 正博 京都大学, 医学研究科, 准教授 (60362464)
三好 弘之 京都大学, 医学研究科, 助教 (30362479)
北村 剛規 京都大学, 医学研究科, 助教 (10378622)
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Keywords | 転移 / 浸潤 / 同所移植 / マイクロアレイ / ケモカイン / CXCR3 / CCR1 / CCL9 |
Research Abstract |
1.昨年度までにケモカイン受容体CXCR3がヒト大腸癌細胞株DLD-1のリンパ節転移を促進することを見出していたが、本年度はCXCR3がケモカインの役割として想定されている癌細胞のリンパ節への遊走ではなく、転移先での腫瘍巣形成を促進することを明らかにした。また、ヒト大腸癌臨床検体の解析から、CXCR3の発現が、リンパ節転移との相関が知られているCXCR4の発現よりも強力な予後不良指標となることを示した。 2.昨年度までに、DNAマイクロアレイを用いてColon26マウス大腸癌細胞の高転移株で発現が変動する遺伝子としてAesを同定し、この遺伝子をColon26細胞に誘導的に発現させると浸潤能、転移能がともに有意に減少することを見出していた。当該年度には、Aes遺伝子を安定発現させた大腸癌細胞をマウス直腸に同所移植すると肝臓や肺への転移が有意に減少することを示した。さらに、ルシフェラーゼレポーターを用いた解析により、AesはNotchシグナルを有意に抑制することが分かった。また、ヒト大腸癌の半数以上の症例の転移巣でAesの発現が低下していることを明らかにし、この遺伝子がヒト大腸癌の転移にも重要な役割を果たしている可能性が示唆されたので、Aesの転移抑制作用をさらに明確にするためにAes遺伝子改変マウスを作出した。 3.転移の初期過程である浸潤機構を解明するため、我々の作出した腸癌自然発症モデルマウス(Apc^<Δ716>Smad4複合変異マウス)を解析した。その結果、このマウスの腺癌ではTGF-βファミリーシグナルの遮断により癌細胞におけるケモカインCCL9の発現が増加すること、その受容体CCR1を持つ未分化骨髄球が血中から浸潤先端部へと集簇することを見出した。また、これら未分化骨髄球は細胞外基質分解酵素MMP9,MMP2を産生すること、Apc^<Δ716>Smad4複合変異マウスにCcr1遺伝子の変異を導入すると未分化骨髄球の集簇が消失し癌細胞の浸潤が抑制されることを明らかにした。さらに、一部のヒト大腸癌で、浸潤先端部にCCR1とMMP9を発現する細胞が存在することを示した。
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Research Products
(11 results)