2015 Fiscal Year Annual Research Report
多重ベルヌーイ数のp-orderとp進L関数および岩澤理論の研究
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14J00005
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂田 実加 九州大学, 数理学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 多重ゼータ値 / Arakawa-Kanekoゼータ関数 / 有限多重ゼータ値 |
Outline of Annual Research Achievements |
Arakawa-Kanekoゼータ関数の負の整数点での値は多重ベルヌーイ数で書き表され、このゼータ関数の正の整数点での値は多重ゼータ値で書き表されることが知られている。前年度は、九州大学のMasanobu Kaneko氏との共同研究により「高さが最小の多重ゼータ値を高さが最大の多重ゼータ値を用いて書き表す関係式」を導出することに成功した。今年度は、この関係式を昨年度とは別の手法を用いて、Ohno関係式と呼ばれる多重ゼータ値の関係式を使って、より簡潔に再証明することができた。このことから、昨年度得られていた「多重ゼータ値の高さに関する関係式」は、Ohno関係式に含まれる関係式であることがわかった。 そして、この新たな証明手法は、Don Zagier氏の提唱した枠組によって与えられる有限多重ゼータ値においても応用できるものとなっており、有限多重ゼータ値におけるOhno関係式を用いて、高さが最小の有限多重ゼータ値を高さが最大の有限多重ゼータ値を用いて書き表すことができるとわかった。 これらの結果について、京都産業大学で開催された第25回関西多重ゼータ研究会や上智大学で開催された第8回数論女性の集まり、首都大学東京整数論セミナー、近畿大学数学教室講演会で口頭発表、名古屋大学で開催されたZeta Functions of Several Variables and Applicationsでポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に計画していたように、初年度得られた「多重ゼータ値の高さに関する関係式」と既存の関係式であるOhno関係式との関係解明に成功し、得られた関係式が有限多重ゼータ値においても成り立つことがわかった。また、関係式の拡張を目指す数値実験についても順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度得られた「多重ゼータ値の高さに関する関係式」の拡張を目指すと共に、他の関係式族との包含関係などの関係解明を目指す。また、上指数が同じ多重ベルヌーイ数たちの関係式導出を目指す。
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Research Products
(6 results)