2014 Fiscal Year Annual Research Report
臨界指数のソボレフ空間における非線型分散型方程式の適切性の解明
Project/Area Number |
14J00069
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平山 浩之 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | 非線型偏微分方程式 / 初期値問題の適切性 / 分散型 / 解の漸近挙動 / スケール臨界 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では主にHadac-Herr-Koch (2009)によるUp空間、Vp空間の手法を用いた研究を行い、非線型項に1階の微分を含む非線型シュレディンガー方程式系の周期境界条件下における適切性、非線型項に1階の微分を含む単独非線型シュレディンガー方程式、非線型項に1階の微分を含む非線型4階シュレディンガー方程式のスケール臨界なソボレフ空間における適切性についての結果を得た。 非線型シュレディンガー方程式系については、非線型項の次数が2次で1階の空間微分を含む3本のシュレディンガー方程式からなる系を周期境界条件下で考え、方程式に含まれるパラメーターが特定の条件を満たす場合に、空間4次元以上でスケール臨界のソボレフ空間において小さな初期値に対する時間局所適切性が得られることを示した。また、空間4次元の場合にはスケール臨界のソボレフ空間がエネルギー空間であるため、エネルギー保存則を用いることで得られた局所解が時間大域的に延長できることを示した。パラメーターに関する条件は全空間に場合における適切性を得るためのものより強いものであり、周期境界条件下特有の難しさが現れることが明らかになった。 1階の微分を含む単独非線型シュレディンガー方程式および4階非線型シュレディンガー方程式系については、非線型項が未知関数の複素共役のみに依存する多項式で1階の空間微分を含む場合には非線型相互作用による共鳴が生じないことに着目し、空間次元と非線型項の次数が特定の関係を持つ場合にスケール臨界のソボレフ空間において小さな初期値に対する時間大域的適切性および解の散乱が得られることを示した。なお、4階非線型シュレディンガー方程式系についての結果は信州大学の岡本葵氏との共同研究によるものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初研究目的は、1階の微分を含む非線型シュレディンガー方程式系の適切性について解明することであったが、全空間の場合については特別研究員への採用の前にほぼ解決することが出来た。そのため、特別研究員への採用後は周期境界条件下という新たな設定のもとで非線型シュレディンガー方程式系の問題について取り組むことが出来た。その結果、周期境界条件下における適切性に結果を得ることが出来、全空間の場合と異なる点についても明らかにすることが出来た。さらに、非線型シュレディンガー方程式系以外の方程式である単独非線型シュレディンガー方程式および4階の非線型シュレディンガー方程の問題についても取組み、適切性および解の漸近挙動についての結果を得ること出来たため、本研究は当初の計画以上に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究で得られた非線型シュレディンガー方程式系の周期境界条件下における適切性の結果は、方程式に含まれるパラメーターが特定の条件を満たす場合に限ったものである。したがって、今後はその条件を外した場合にどうなるかという点について考える。 また、非線型シュレディンガー方程式系の全空間上の問題については方程式に含まれるパラメーターが特定の条件を満たす場合は適切性だけでなく大域解の時間漸近挙動まで得られたが、それ以外の場合では得られていない。そこで、Germain-Masmoudi-Shatah('09)を用いてパラメーターが特定の条件を満たす場合以外に大域解の漸近挙動が得られるかどうかを確かめる。
|
Research Products
(5 results)