2014 Fiscal Year Annual Research Report
高速永久磁石型ベアリングレスモータの大容量化に関する研究
Project/Area Number |
14J00235
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松﨑 達也 北海道大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | ベアリングレスモータ / 磁気浮上 / 磁気支持 / 高速モータ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに,2極電動機・4極軸支持構造を持つ埋込永久磁石型ベアリングレスモータ(BelM)において,回転子が回転した時に発生する軸支持力の脈動を抑制できる回転子構造を新たに提案した。そして,提案する回転子構造を備えた試作機を製作し,静止浮上状態における軸支持力特性試験によりその有効性を確認した。しかし,動的な状態である回転浮上状態での検証は未だ行われていない。 そこで,本年度は,30000 rpmという高速回転での安定な回転浮上運転を実現することで,提案する回転子構造の動的な状態での有効性の確認を行った。 また,BelMの研究開発は,世界中で盛んに実施されているが,10000 rpmから30000 rpmといった高速回転の幅広い運転範囲における,軸支持電力を含めた総合効率マップ等の詳細なBelMの運転特性は未だ報告されていない。しかし,実用化を推し進めるうえで,全運転範囲における詳細な運転特性を明らかにすることは必須の条件である。そこで,提案している回転子構造を備えた試作機を用いて30000 rpmまでの実負荷試験を行った。そして,30000 rpmまでの全運転範囲におけるトルク・軸支持電力・損失・軸支持電力を含めた総合効率などの詳細な運転特性を明らかにした。 さらに,PWMインバータのスイッチング周波数を10 kHzに設定して,実負荷試験を実施した結果,電動機巻線及び軸支持巻線に流れる電流のスイッチングリプル成分が無視できないほど大きいことが分かった。そこで,PWMインバータのスイッチング周波数を20 kHzに増加して実負荷試験を行うことにより,電流のスイッチングリプル成分を抑制することにした。これまでに,スイッチング周波数がBelMの運転特性に及ぼす影響に関する報告は研究者の知る限り無いため,PWMインバータのスイッチング周波数が運転特性へ与える影響の検証を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定で,1年目は,製作した試作機を用いてトルク・軸支持特性及び運転特性の検証を行う。軸支持特性の測定には,非接触軸支持運転時の回転子変位・電流・電圧等の情報を正確に測定する必要があるため,ミックスド・シグナル・オシロスコープを購入する。さらに,測定したトルク・軸支持特性を用いて30000 rpmという高速運転を実現できる制御システムの構築を行う。そして,30000 rpmの高速回転域における効率などの運転特性試験を行い,試作機の特性を明らかにする。具体的には,以下に示す(1)~(3)の手順により研究を行う計画であった。 (1) 試作機のトルク・軸支持力特性などの基本パラメータを計測するために,静止及び低速回転時にトルク及び軸支持方向への負荷試験を行う。 (2) (1)において取得した基本パラメータを適用し,30000 rpmという高速回転時における試作機の安定な非接触軸支持運転を実現できる制御システムを構築する。 (3) 30000 rpmの高速回転域における効率などの運転特性試験の実施および検討を行う。 この計画に対して,本年度は,30000 rpmという高速回転での安定な回転浮上運転を実現することで,提案する回転子構造の動的な状態での有効性の確認を行った。また,提案している回転子構造を備えた試作機を用いて30000 rpmまでの実負荷試験を行うことでベアリングレスモータのトルク・軸支持電力・損失・軸支持電力を含めた総合効率などの詳細な運転特性を明らかにするところまで行うことができたため,順調に進展していると考えます。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの実負荷試験の結果から,高速回転域において鉄損による発熱が大きいことが分かった。そのため,定格出力における高速回転での連続運転が運転が困難になる。従って,大容量・高速ベアリングレスモータの設計を行う際には,効率などの運転特性だけでなく,損失密度にも注意することが重要であることが分かった。そこで,試作機を用いて温度試験を行うことにより,提案する回転子構造を備えたベアリングレスモータの高速回転域における温度上昇の様子の検証を行う。 今後は,試作機による実負荷試験の結果と上記の実験結果から得られた様々な知見に基づいて,当初からの目標である大容量高速ベアリングレスモータについて,損失密度にも注意し連続運転ができるようなベアリングレスモータの詳細な設計検討を行う予定である。
|
Research Products
(3 results)