2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J00258
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
合原 一究 同志社大学, 生命医科学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 非線形ダイナミクス / 動物行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
コウモリの捕食行動時の飛行方向とパルス放射方向のダイナミクスを数理的に研究した。 これまでに取り組んできた飛行方向に関する研究成果(I. Aihara et al., PLOS ONE, 2013)を拡張し、飛行方向とパルス放射方向の変化を記述する数理モデルを提案した。具体的には、コウモリが四方を壁に囲まれた空間で飛行する状況を考え、壁からの距離と角度に応じて飛行方向とパルス放射方向を変化させると仮定した。この数理モデルを解析し、実験的に観測された八の字型飛行経路とパルスの放射特性を再現した。この研究成果は、査読付学術論文としてIEICE Nonlinear Theory and Its Applicationから出版された。また、野外でのコウモリの捕食行動をマイクロフォンアレイにより計測し、その際の探索範囲を記述する数理モデルを研究した成果が、査読付学術論文としてJournal of the Acoustical Society of Americaから出版された。 一方で、コウモリを初めとする夜行性動物の野外での音響計測には技術的な課題が多い。そこで、様々な動物の音響計測への応用が期待される、マイクロフォンアレイシステム、音声可視化システム、時系列データ解析法に関する研究を進めた。これらの計測技術の応用可能性を広く検討するために、種々の学会・研究会に参加し、研究発表および情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コウモリの行動はこれまで室内実験や野外観測により活発に研究されてきたが、その洗練された行動原理の数理研究はほとんど行われていない。平成26年度は、コウモリのエコーロケーション行動の重要なファクターである、飛行方向とパルス放射方向のモデル化に取り組み、実験的に観測された行動特性の説明に成功した。また、野外での探索行動についても新たな数理モデルを考案し、野外での探索行動が効率的であることを示した。以上の研究成果は、査読付き学術論文2編などとして平成26年度に公開した。 以上から、当初の計画以上に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の成果を拡張し、実際の野外でのコウモリの行動特性の数理解析を進めていく。具体的には、餌が複数存在する場合に捕食に効率的な運動特性、複数のコウモリが連動して餌を捕食する際の集団行動特性をターゲットに、数理的・実験的研究を進めて行く。
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Research Products
(10 results)