2014 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショックタンパク質が骨格筋AMPK/SIRT1活性増強に及ぼすメカニズムの解明
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14J00286
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 亜由美 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | AMPK / 熱刺激 / heat shock protein / 骨格筋 / 糖輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、骨格筋におけるheat shock protein(HSP)72の発現増加が耐糖能障害を改善する可能性が報告されているが、そのメカニズムは十分には明らかではない。当初、本研究では、ラットへの熱刺激や薬剤負荷によって骨格筋のHSP72を増加させた状態を作成し、糖代謝活性の変化やそのメカニズムについて検討する予定であった。しかしこの研究過程において、ラット単離骨格筋に対して短時間(30分以内)の熱刺激(42℃)を与えると、HSP72が増加しないにもかかわらず、糖代謝の重要過程である糖輸送(glucose transport)が亢進することを見出した。さらに糖輸送亢進のメカニズムとして、糖代謝制御分子である5’-AMP-activated protein kinase(AMPK)が活性化され、glucose transporter(GLUT)4のトランスロケーションが誘導されることが示唆された。一般にAMPK活性化は細胞内エネルギーの減少に伴って生じることが知られているが、骨格筋細胞のエネルギー指標であるATP、クレアチンリン酸、グリコーゲン量は熱刺激によっていずれも減少した。一方、AMPKとは独立して骨格筋の糖輸送促進に関与するとされるインスリンシグナル分子ならびにCa2+ /calmodulin-dependent protein kinase IIに変化は見られなかった。これらは、短時間の熱刺激がHSP72と独立して、骨格筋糖代謝を急性的に亢進する可能性を示すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は2年計画で実施され、平成26年度で1年目が終了した。これまでの研究で、短時間の熱刺激が糖輸送を亢進させること、さらにはその作用機序に、骨格筋細胞内エネルギー状態の低下を介したAMPK活性化が関与していることが示唆されている。これらの知見は現在、原著論文として国際的専門誌に投稿準備中である。以上のことから、現在の研究が順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
熱刺激を骨格筋糖代謝機能の維持・改善を目的とした治療法として臨床応用を目指すには、熱刺激によって生じる骨格筋糖輸送の生理学的意義や分子メカニズムの詳細を追求する必要があると考える。また、糖のみならずタンパク質代謝に与える影響を検討することも重要である。来年度は今年度に引き続きラット単離骨格筋を用いて、熱刺激がグリコーゲン合成とタンパク質合成に及ぼす影響を検討することを中心課題に据えながら、熱刺激が骨格筋に与える生理学的役割を総合的に明らかにしていく予定である。
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] Responses of circulating microRNAs to unloading-associated atrophy and reloading-induced regrowth of mouse hindlimb skeletal muscle.2014
Author(s)
Suzuki M, Egawa T, Ikuta A, Goto A, Yokoyama S, Ohno Y, Sugiura T, Ohira Y, Yoshioka T, Goto K
Organizer
Australia Physiological Society meeting 2014
Place of Presentation
The University of Queensland(Brisbane, Australia)
Year and Date
2014-11-30 – 2014-12-03
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