2015 Fiscal Year Annual Research Report
協力努力の連合様式と協力の進化動態とをつなぐ一般的法則性の理論的解明
Project/Area Number |
14J00472
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 公一 九州大学, 理学部, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | 協力 / Adaptive Dynamics / 意思決定様式の進化 / 訪花者をめぐる花の戦略 / ゲーム理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度の研究をさらに深めることを目的に、二つの点から研究を行ってきた。一つは、エラー存在下における意思決定様式の進化の理論的一般性の解明である。昨年度の研究では、協力への投資量に個体ごとに特有のエラーが存在する条件を考えることで、協力の意思決定様式の進化動態を明らかにしたが、協力時に生じるエラーには異なる様式も考えられる。エラーが生じる対象やエラーの種類の違いが意思決定様式の進化動態に与える影響について調べるために、昨年度構築した数理モデルをベースとして6通りのエラー様式を新たに導入した拡張モデルを構築し、進化動態の定性的な解析を行った。結果、エラー様式によって意思決定様式の進化は大きく異なることが明らかとなった。 もう一つは、実際の野外でみられる協力行動を理論的枠組みから捉える事で、協力への投資が利益に変わるプロセスの影響を検討する事である。本年は、訪花者をめぐる花の報酬とシグナルの進化動態について注目した。花は訪花者を集めるために報酬を生産するが、訪花者は報酬の多寡を花の色や形、匂いなどの情報と関連付けて学習することが知られている。このような場合、訪花者の花形質への選好性は花にとっての公共財とみなすことができ、花の報酬の進化は協力ゲームの枠組みから捉えることができる。花の報酬とシグナルの進化動態を考えるために、花の報酬の生産期間と、花の寿命、およびシグナルの有無を進化形質とする理論モデルを構築し、進化的安定な戦略をAdaptive Dynamicsを用いて解析した。結果、学習能力にばらつきが、花形質の進化に大きな影響を与えることを明らかにするとともに、野外でみられる花色変化と呼ばれる現象を説明できる可能性を示唆した。以上の結果は、協力への投資量が利益に変わるプロセスの違いに注目することで、実際の野外でみられる形質の進化の起源について説明できる可能性を示している。
|
Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(6 results)