2014 Fiscal Year Annual Research Report
ギャンブルの基礎的行動メカニズムとその影響要因に関する実験社会心理学的検討
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14J00567
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
髙田 琢弘 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ギャンブル行動 / 感情 / 運の知覚 / Arousal / 認知的負荷 / 実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,私が取り組んでいる博士論文の研究では,ギャンブル場面における非合理的な行動が生じるメカニズムと,その影響要因について解明することを目的としている。この一環として,平成26年度は,後述の三つの実験室実験を実施した。なお,実施した三つの実験において,ギャンブル課題として,Game of Dice Task-Revision(GDT-R;Takada & Yukawa, 2014)を用い,ギャンブル行動として,「賭けのリスク・額・速さ・止め時」に着目した。 実験1では,「運の知覚」の影響を検討するため,大学生67名を対象とした実験室実験を実施した。実験参加者には,(事前に操作された)くじ引きによる運の知覚の操作を行った上で,GDT-Rに取り組ませた。実験計画は,一要因三水準の参加者間計画(幸運群,普通群,不運群)であった。分析の結果,幸運群は,普通群と不運群よりも,1試行あたりに賭ける額が小さかったことが示された。 実験2では,「活性状態」の影響を検討するため,大学生42名を対象とした実験室実験を実施した。実験参加者は,実験群か統制群のいずれかになるように無作為に割り当てた。実験群には,GDT-Rの前にトレッドミル運動を行わせ,活性が上昇した状態で,統制群には,平常の状態でGDT-Rに取り組ませた。分析の結果,実験群と統制群との間で,ギャンブル行動に特に有意な差は見られなかった。 実験3では,「認知的側面」の影響を検討するため,大学生40名を対象とした実験室実験を実施した。実験参加者は,実験群か統制群のいずれかになるように無作為に割り当てた。実験群には,二重課題を行わせ,認知的負荷を与えた。統制群には,そのような認知的負荷を与えなかった。分析の結果,実験群の方が統制群よりも,賭けに要する時間が長くなり,課題の止め時がはやくなっていたことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように,平成26年度は三つの実験室実験を実施した。これは,当初の予定通りのペースであり,さらに,実際にデータを収集した実験参加者の人数も,当初の予定通りであった。 なお,平成26年度の研究成果の発表状況として,3編の学術論文(原著論文2編,資料論文1編)が採択された。また,平成26年度中に実施した研究の発表状況として,国内学会で1件(ポスター発表1件),国際学会で2件(ポスター発表2件)の発表を全て第一著者として行い,その中の1件の発表(国際学会でのポスター発表)が,優秀発表賞として学会から表彰されている。 これらのことから,私の研究は,当初の予定通りに,おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,一つの実験室実験を行う予定である。具体的には,「感情状態」がギャンブル行動(賭けのリスク・額・速さ・止め時)に及ぼす影響を検討する予定であり,大学生90名程度(男性45名,女性45名)を対象とした実験室実験を行う。実験参加者には,映像視聴による感情状態の操作を行った上で,ギャンブル課題(GDT-R)に取り組ませる。実験計画は,一要因三水準の参加者間計画(ポジティブ感情群,ニュートラル感情群,ネガティブ感情群)である。なお,実験で用いる映像は,大学生60名程度(男性30名,女性30名)を対象とした予備調査を行った上で選定する。 上述の研究は,平成27年度の前半に実施することを予定しており,その後,これまでに実施した研究知見をまとめる予定である。
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Research Products
(6 results)