2014 Fiscal Year Annual Research Report
共振周波数が可変なアクティブ・コントロール・エンジンマウントの開発
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14J00644
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北山 文矢 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | アクチュエータ / 制振制御 / 軸対称三次元有限要素法 / 簡易制振実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、簡素な構造で基本特性を変えつつ振動するActive Control engine Mount(ACM)用アクチュエータ、その特性可変型アクチュエータに対応するACM用制振制御法を検討した。 従来の特性可変型アクチュエータは、特性可変や十分な駆動は実現できていたが、可動子の内側と外側に固定子を有するものであるため、製造性が低かった。そこで、本年度の取り組みとして、製造性、特性可変、駆動を両立したアクチュエータを提案した。本年に提案したアクチュエータは、固定子と可動子から構成され、固定子は、ばね、支持部、2つのコイル、ヨークから構成されており、可動子は、シャフト、ヨーク、磁石から構成されている。本アクチュエータは可動子の外側のみに固定子を有しているため、製作が容易である。2つのコイルは直列および並列に接続され、直列と並列の2つの状態を持たせる。この2つの状態で動作原理が異なるため、本アクチュエータは2つの異なる特性を有する。そして、これらの接続状態を切り替えることによって、特性を可変にする。軸対称三次元有限要素法から、直列状態では駆動周波数に対して一定な推力定数および駆動周波数が100Hzでピークとなる共振特性となり、並列状態では駆動周波数が70Hzと140Hでピークとなる推力定数および駆動周波数が70Hzと140Hzでピークとなる共振特性であることを確認した。このように、本アクチュエータは可変な特性を有していた。 本アクチュエータで制振するためには、アクチュエータ特性を自動的に考慮する制振制御法が必要になる。そこで、従来の制振制御法であるLMS適応制御にアクチュエータの特性を考慮する位相補償器を組み合わせた新制御法を提案した。提案した制御法の評価のために簡易制振実験を行い、その有効性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、数Hz~200Hzの広い周波数領域で車体へ伝わる力を低消費電力で90%以上低減させるために、共振周波数を任意に変更できるACMを開発することである。そのための方法として、(I)特性を自由に変更できるアクチュエータの開発 (II) 特性可変型アクチュエータの駆動および制振制御法の確立(III)共振周波数が変更できる省電力・高性能なACMの実現を挙げていた。 本年度は、上記のうち(I),(II)について、取り組んだ。 前者に関しては、2つの接続状態および動作原理を持つ特性可変型アクチュエータを提案した。また、製造性も考慮した設計とした。軸対称三次元有限要素法を用いた磁場解析で本アクチュエータは特性を自由に変更できること確認した。しかし、試作機を用いた測定での検証は未達成である。 次に、特性可変型アクチュエータの駆動および制振制御法として、アクチュエータ特性を自動的に考慮する制振制御法を考案した。最初に、従来法のLMS適応制御法の原理解明をした。次に、その制御法にアクチュエータ特性の補償器を加えた新制御法を提案した。新制御法の評価のために(I)で提案したものと異なる一般的なアクチュエータとDigital Signal Processorを用い、簡易制振実験を行い、有効性を示した。本実験は、制御を行った時に、アクチュエータ特性を自動的に考慮できるかを確認したものであり、このことから特性可変型アクチュエータへの対応の可能性を示した。それ故、特性可変型アクチュエータの試作機を用いた簡易制振実験による検証は、未達成である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、特性可変型アクチュエータ、特性可変型アクチュエータの制御方法に関して実機検証と共振周波数が変更できる省電力・高性能なACMの開発を行う。 最初に、提案アクチュエータの試作機を製作する。コイル部分以外は、過去の試作機と同等であるため、コイル部分を中心に設計および製作する。また、同時に渦電流対策も行う。 次に、この試作機を用いて、アクチュエータの有効性の検証を行う。各接続状態での共振特性の変化をレーザ変位計および電流プローブを用いて、測定する。 試作機とDigital Signal Processorを用いて簡易制振実験を行い、各接続状態で良好に制振できることを確認する。 最後に、既存のACMから受動的制振部材を取り出し、提案アクチュエータと組み合わせ、新しいACMを製作する。そのACMを用い制振実験を行い、低消費電力で良好に制振できることを確認する。
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Research Products
(6 results)