2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J00670
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 文彰 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 待ち行列理論 / 行列解析法 / レベル依存型マルコフ過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、適応的資源割り当て機構を有するシステムと同様の振る舞いをする数理モデルとして (1) システムが空になると、特別な背後状態遷移が起こる待ち行列モデル (2) 客の待ち時間に制約のある待ち行列モデル の二つを考察した。 (1) については、左飛び越しのない連続時間マルコフ過程に対する既存の枠組みを拡張し、レベルが正である期間での背後状態遷移構造が可約であっても適用可能な数値計算法を開発した。これによって、Working Vacation をもつ待ち行列モデルや、複数種類の全稼働期間が存在するモデルをはじめとする、(1) のモデルを包括するような枠組みへと、既存の結果を拡張することができた。 (2) については、客の到着がポアソン過程に従い、サービス時間と待ち時間制約の長さがそれぞれ一般の非負確率分布に従う、M/G/1+G待ち行列モデルを考察した。このモデルは、システムの輻輳度合いによって客の到着頻度が変化する待ち行列モデルと捉えることができる。まず、先行研究とは異なる解析のアプローチをとることにより、M/G/1+G待ち行列における定常仮待ち時間が、従属する確率変数のランダム和として表現されることを発見した。そこで、この知見と確率順序の理論に基づき、モデルの各種パラメータと呼損率について、いくつかの理論的な関係を明らかにした。さらに、待ち時間制約が相型分布に従う場合の呼損率ついて、数値誤差の見積もりが可能な、数値計算アルゴリズムの開発を行った。これらの成果は、国内ならびに海外の英文学術誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究当初は、系内仕事量に複数の離散的な閾値を設けることで輻輳の度合いを表現する枠組みを想定していたが、待ち時間制約のある待ち行列モデルに対する理論的解析や数値計算法の開発が計画以上に進展し、より一般的な枠組みへの道が拓けたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、上記 (2) の、待ち時間制約のある待ち行列モデルに対する解析をさらに進める。特に、M/G/1+Gにおける系内客数や全稼働期間など、呼損率以外の指標についての数値計算法を考察する。それと同時に、これまで得られた成果を、到着が背後過程をもつモデルへ拡張する方法を検討する。
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