2015 Fiscal Year Annual Research Report
籠型配位子を用いた多核銅錯体によるマルチ銅酸化酵素の反応機構解明
Project/Area Number |
14J00705
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永田 光知郎 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | マルチ銅酸化酵素 / 多核金属錯体 / クラスター / 銅酸素錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体で電子伝達や酵素反応中心として働く銅タンパク質の中でも、3つの銅が特異的に集積化した活性部位を持つマルチ銅酸化酵素は酸素を水へと触媒的に還元する。しかし、その還元過程における酸素の活性化様式に関しての情報は限定的である。三核銅中心のモデル化合物に関しての研究は、単核銅錯体を集積化させる手法が用いられているが、酵素反応の過程を説明するには至っていない。それは銅同士が近づき過ぎてO-O結合が切れてしまうことが原因である。つまり、銅を集積化しつつ距離に制約を持たせる必要があると予想される。この点を着想として、複数の配位部位を有する籠状分子を用い、三核銅錯体の合成を行った。次に多核銅(I)錯体を前駆体として分子状酸素の取り込みおよび活性化状態の同定を行った。分光学的手法を用いることにより、三核銅錯体が酸素をペルオキソ状態で捕捉した酸素錯体が得られることが明らかとなった。一方、新しく合成を行った二核銅(I)錯体と酸化還元電位および酸素との反応速度を比較することで、二核銅中心と比較して三核銅中心がより酸素との親和性が高いことを明らかにした。この三核銅酸素錯体の推定構造は酸素と同族のジスルフィド錯体の構造を初期構造としたDFT計算に基づいて計算を行った。構造最適化の結果、三つの銅はペルオキソによって架橋されていることが明らかになった。この酸素錯体は既報のペルオキソ錯体の中でもO-O結合のエネルギーが最も小さいことが判っており、その結果を裏付ける構造を有している。続いて、三核銅酸素錯体の構造に基づきペルオキソ部位に対してプロトン付加を行ったところ、それを切っ掛けとして銅(I)部位からの電子移動を伴ったO-O結合の開裂が生じた。これまでにヘム鉄酵素でプロトン付加と金属からの電子移動を伴うO-O結合の開裂機構は提唱されており、同様な機構で銅酵素も反応が進行する可能性があることは興味深い。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(11 results)