2015 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素の有効利用を指向したニッケル錯体触媒による環状カルボニル化合物の合成
Project/Area Number |
14J00798
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 由香里 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | ニッケル / アルデヒド / アルケン / ヒドロシラン / インダノール / ケトン / 三成分カップリング / 還元的カップリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、環状ニッケル錯体を経由するアルデヒドと不飽和化合物との環化付加反応において、廃棄物を出さず有用な化合物を合成することのできる手法の開発を目的としている。これまでに、ゼロ価ニッケル触媒を用いたアルデヒドとアルケンの分子内ヒドロアシル化反応の開発を達成している。 本年度は、ニッケル錯体触媒を用いたアルデヒドとアルケンと還元剤の三成分カップリング反応の開発を行った。さらに、アルデヒドよりも反応性の劣るケトンを用いて同様の三成分カップリング反応の開発も行った。今回開発したアルデヒドとアルケン、ヒドロシランの三成分カップリング反応は、副生成物を一切出さず、高い原子変換効率かつ高いジアステレオ選択性でインダノール誘導体を与えることができる。インダノール誘導体は薬理活性物質骨格を有する重要な化合物群であり、それを一段階で合成することのできる本手法は大変有用である。また、ニッケル触媒を用いたケトンとアルケン、ヒドロシランの三成分カップリング反応はこれまでに達成されたことがなく、本研究が初となる。さらに、光学活性なN-ヘテロサイクリックカルベン配位子を用いることにより、光学異性体過剰率は中程度ながら、目的生成物を高収率にて合成することも可能となった。分光学的手法を駆使して主生成物の絶対構造を決定するに至った。 また、これらの研究成果の学術雑誌への投稿も達成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、これまでのアルデヒドとアルケンという組み合わせから、アルデヒドとアルケン、ヒドロシランという三成分還付リング反応へと発展させることに成功した。これらの結果をまとめて学術雑誌への投稿を達成することができた。さらに、アルデヒドよりも反応性の劣るケトンを用いた反応へと応用することにも成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究において開発した三成分カップリング反応において、光学異性体過剰率の向上および選択性発現メカニズムの解析を行うことにより、詳細な反応機構研究に取り組む。また、不斉反応の開発に際して、前例のない光学活性なN-ヘテロサイクリックカルベン配位子を有するニッケル錯体触媒の開発にも取り組む。
|
Research Products
(4 results)