2014 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ卵管繊毛ならびに分泌上皮細胞の機能制御機構の解明
Project/Area Number |
14J00924
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小林 芳彦 岡山大学, 環境生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ウシ / 卵管 / 繊毛細胞 / 上皮細胞 / 細胞培養 / 分泌細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵管上皮の機能解析において、上皮細胞の培養系を用いた研究がこれまでに数多く報告されてきた。ただしその全てにおいて、2 種類の上皮細胞(繊毛細胞および分泌細胞)を混合した培養系が用いられており、それぞれの上皮細胞についての詳細な機能解析はあまり進展してこなかった。本研究では、磁気ビーズ単離法により、繊毛上皮細胞、分泌上皮細胞それぞれを純粋単離し、独立的な培養系を確立することで、2 種類の上皮細胞のより詳細な機能解析を行うことを目的とした。 まず初めに、卵管膨大部から定法により単離した混合上皮培養細胞中に、繊毛細胞マーカー抗体を結合させた磁気ビーズを混合し、これに結合したものは繊毛細胞、結合しなかった細胞は分泌細胞であるだろうと期待し、両細胞の単離を試みた。なお、卵管膨大部には、繊毛細胞・分泌細胞がおよそ 5:5 から 6:4 の割合で存在することが知られている。免疫細胞染色法により確認したところ、磁気ビーズに結合した細胞はほぼすべてが繊毛細胞マーカーを発現することが確認された。その一方、磁気ビーズに結合しなかった細胞は、繊毛細胞マーカーを発現する細胞、ならびに分泌細胞マーカーを発現する細胞の両者が確認された。すなわち、卵管膨大部からは繊毛細胞は単離できたが、分泌細胞の純粋単離はできなかった。 次に、卵管峡部から単離した混合上皮細胞より、上と同様の方法を用いて両細胞の単離を試みた。なお、卵管峡部の上皮細胞はその 90% 以上が分泌細胞であることが知られている。免疫細胞染色により確認したところ、磁気ビーズに結合した細胞は繊毛細胞マーカーのみを発現し、磁気ビーズに結合しなかった細胞は分泌細胞マーカーのみを発現することが確認された。すなわち、卵管峡部からは繊毛細胞・分泌細胞ともに純粋単離することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画より早く実験を進め、着実にデータを集積しつつある。同時に展開的研究にも着手し、新たな研究計画を立て実験するなど、顕著な進展がみられる。具体的には、これまでに確立されていなかった卵管の繊毛上皮細胞と分泌上皮細胞それぞれの純粋培養系の確立が達成された。この成果により、2 種類の卵管上皮細胞それぞれの詳細な機能解析の進展することが期待される。次年度以降は、特に繊毛細胞機能制御における分泌細胞の役割について、より詳細な解析の進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の結果から、繊毛細胞マーカー抗体の反応性・もしくは磁気ビーズの混合量に問題があり、磁気ビーズに結合できる繊毛細胞の数が限られてしまい、その結果繊毛細胞の量がもともと多い膨大部では、すべての繊毛細胞が磁気ビーズに結合できなかったと考えられる。今回の試験において、繊毛細胞マーカー抗体として用いた抗体は、basal body 抗体であるが、今後は、当研究室で新たに発見した繊毛細胞マーカーである Receptor activity modifying protein 2(RAMP2)の抗体を用い、より効率的な単離法確立を目指し、卵管膨大部からの両細胞純粋単離を達成したいと考えている。また、次年度以降は、純粋単離した両細胞を Transwell を挟んで共培養し、分泌細胞が分泌する物質が繊毛細胞のはたらきにどのような影響を及ぼすか、検討していく予定である。
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Research Products
(2 results)