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2015 Fiscal Year Annual Research Report

ヒト組織を用いたPGE2-EP4シグナル抑制による新規大動脈瘤治療法の開発

Research Project

Project/Area Number 14J01039
Research InstitutionYokohama City University

Principal Investigator

石渡 遼  横浜市立大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2014-04-25 – 2017-03-31
Keywords腹部大動脈瘤 / Prostaglandin E2 / EP4 / IL-6 / 平滑筋細胞
Outline of Annual Research Achievements

本研究では, PGE2 (Prostaglandin E2)-EP4シグナルによる腹部大動脈瘤の発症・進行メカニズムを明らかにすることを目的としている. 平成26年度までに, ヒト腹部大動脈瘤組織においてEP4シグナル依存的に分泌が亢進するプロテアーゼやサイトカインが明らかになった。ヒト腹部大動脈瘤組織由来の平滑筋細胞ではEP4発現が亢進していたことから, EP4による腹部大動脈瘤発症メカニズムには平滑筋細胞を中心とした仕組みが存在するという仮説を立て, その仮説を検証するとともに, 腹部大動脈瘤の発症メカニズムを明らかにすることを目的とし平成27年度は実験を行った.
平滑筋細胞選択的にEP4が過大発現するマウス (EP4-Tgマウス)を作成し, 検討を行った. Angiotensin II (AngII, 1.0μg/kg/min) を28日間持続的に投与し, 血管炎症を惹起したところ, 比較対照のNon-Tgマウスが全例 (6匹) 生存したのに対して, EP4-Tgマウスはおよそ6割が14日目を前に死亡し, 28日目までに全例 (8匹) 死亡に至った. 腹部大動脈瘤発症の前段階であると考えられるAngII 負荷day4の大動脈組織では 好中球および炎症性単球/マクロファージの数が顕著に増加していることが分かり, これらの浸潤した炎症性細胞が分泌するMMP-9がEP4-Tgマウスにおける腹部大動脈瘤の発症に関与している可能性が示唆された. 平滑筋細胞で発現する炎症性サイトカインのうちPGE2による増加率が大きいサイトカインとしてIL-6が同定され, IL-6受容体・抗体による阻害によりEP4-Tgマウスにおける腹部大動脈瘤の発症が抑えられた. 以上の結果から, 平滑筋細胞におけるEP4シグナルはIL-6分泌を介して炎症反応を亢進し, 腹部大動脈瘤の発症を促すと考えられる.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

1年目であった平成26年度は, タンパク質の網羅的解析によってEP4依存的に分泌が亢進する分子を同定し、当初の2年目までの目標を達成致した。2年目であった当年度は、平滑筋細胞においてEP4を過大発現したマウスを用いて、平滑筋細胞におけるEP4のシグナルが腹部大動脈瘤の発症に寄与することを明らかにし、そのメカニズムとしてEP4依存的なIL-6の増加が関わることをin vivo, in vitroの実験で多角的に検証した。

Strategy for Future Research Activity

3年目である28年度は, EP4により増加するIL-6がどのように腹部大動脈瘤の発症に関与するのか検討を行う. IL-6の機能は多岐に渡り, 特にマクロファージ分化を促進する働きが知られている. In vivoでIL-6受容体・抗体を投与したときに, AngII負荷時のEP4-Tgマウス大動脈の炎症状態をFlow Cytometry で評価する. 組織中の好中球, 単球, マクロファージの数を定量するとともにそれぞれの分画をCell sorterで分取し, マクロファージ分化マーカーなどの発現量を定量的PCRで比較する.
また, EP4によるIL-6発現調節メカニズムを検討する. IL-6の発現増加にはNF-κB経路が働くことが良く知られている. EP4の主要なセカンドメッセンジャーであるcAMPとNF-κB経路に相互作用があることが示唆されているが, そのメカニズムは不明な部分が多い. 前年度においては, EP4-Tgマウスの大動脈平滑筋細胞を用いてEP4の下流でcAMP, TAK1, NF-κB, p38, ERKが関与していることが示唆された. 本年度は, 同様のメカニズムがヒトの平滑筋細胞においても働いている可能性をヒト大動脈平滑筋細胞を用いて検討する.

  • Research Products

    (2 results)

All 2016 2015

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Eicosanoids and Aortic Aneurysm.2015

    • Author(s)
      Yokoyama U, Ishiwata R, Ishikawa Y
    • Journal Title

      Bioactive Lipid Mediators

      Volume: 3 Pages: 267-278

    • DOI

      10.1007/978-4-431-55669-5_19

  • [Presentation] Inhibition of PGE2-EP4 Signaling as a Potential Future Therapeutic Strategy for Abdominal Aortic Aneurysm2016

    • Author(s)
      石渡遼
    • Organizer
      第80回 日本循環器学会・学術大会
    • Place of Presentation
      仙台国際センター(宮城県仙台市)
    • Year and Date
      2016-03-18 – 2016-03-20

URL: 

Published: 2016-12-27  

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