2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J01137
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北野 智朗 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | 噴霧燃焼 / 液滴蒸発 / フラッシュバック / 高圧燃焼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,噴霧燃焼場における個々の燃料液滴に着目し,微小領域に配置された燃料液滴群の蒸発現象に3 次元直接数値シミュレーションを適用することにより,燃料液滴の蒸発特性に及ぼす雰囲気圧力,雰囲気温度,燃料組成の影響について詳細な検討行った. その結果,燃焼反応を伴わない場合,低雰囲気温度においては,雰囲気圧力の増加に伴い液滴寿命が増加した後,ほぼ一定となるが,高雰囲気温度においては,雰囲気圧力の増加に伴い液滴寿命が単調に減少することがわかった. また,燃焼反応を伴う場合,低雰囲気温度においては燃焼反応を伴わない場合と同様に雰囲気圧力の増加に伴い液滴寿命が増加した後,ほぼ一定となるが,高雰囲気温度においては液滴質量比によって影響が変化することがわかった. 以上の研究成果は,学術論文に発表済みである(Kitano et al. Fuel 2014, Kitano et al. Combust. Flame 2014). また,燃焼振動場において発生する圧力変動が壁面近傍で発生する火炎の逆流(フラッシュバック)に及ぼす影響について直接数値シミュレーションにより検討を行った.その結果,フラッシュバック速度は,燃焼振動を想定した基準圧力から1.5%変動する圧力変動の影響を大きく受け,最大で圧力変動がない場合の約1.5 倍になることが分かった.これは,圧力変動により主流方向流速が変動することに起因する.また,圧力変動により,平均フラッシュバック速度が増加することが分かった.本研究成果は,国際学会において発表済みであり(Kitano et al. 11th World Congress on Computational Mechanics 2014),学術論文に投稿中(Kitano et al. Combust. Flame submitted)である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,噴霧燃焼場における燃焼振動のメカニズム解明を目指し,その素過程について解析を行った.具体的には,噴霧燃焼場で重要となる個々の燃料液滴の蒸発燃焼および,燃焼振動により引き起こされる可能性のある,壁面近傍で発生する火炎の逆流現象であるフラッシュバックにについて数値シミュレーションによる解析を行った. その結果,雰囲気圧力や温度,燃料組成などの条件が燃料液滴の蒸発および燃焼に及ぼす影響や,燃焼振動場において発生する圧力変動がフラッシュバック速度に及ぼす影響を明らかにした. 本研究成果は,国際学会や学術論文に発表しており,順調に研究が進展したといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は,液滴蒸発や,フラッシュバックといった,噴霧燃焼振動の中の素過程に着目し,研究を行った.来年度は,本年度得た知見を元に,噴霧燃焼振動全体の現象解明を目指す. まずガス燃焼を対象に,燃焼器内で発生する燃焼振動の数値シミュレーションを実施し,燃料と酸化剤の混合比率や,流入ガス温度,燃焼器形状などの条件が,燃焼振動に及ぼす影響について検討を行う予定である.さらに,液体燃料を直接燃焼器内に噴射する噴霧燃焼を対象に,ガス燃焼と同様の系に対して数値シミュレーションを実施し,燃料液滴径や液滴温度などが噴霧燃焼振動に及ぼす影響について検討を行う予定である.
|