2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J01158
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 和輝 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 保型L函数 / 保型表現 / p進簡約群の表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
四元数ユニタリ群とGL(2)のテンソル積L函数の特殊値の代数性を、ベクトル値の場合を含む、mixed weight caseと呼ばれる場合に証明することができた。また、この結果を纏めた論文を投稿し、ドイツのMathematisches Forschungsinstitut Oberwolfachで開催されたワークショップ「Modular Forms」において講演を行った。
今年度は、計画を一部変更しE.LapidとZ.MaoによるWhittaker周期の明示式に関する予想をユニタリ群の場合に取り組んだ。この予想は市野篤史氏と池田保氏によるGross-Prasad予想の精密化の類似として提唱されたが、Whittaker周期という保型表現論における基本的量を表す予想でありその重要度は高い。LapidとMaoはこの予想が適当な局所体上の予想から従うことをメタプレクティック群とユニタリ群の場合に証明し、さらにこの局所体上の予想をp進体上のメタプレクティック群の場合に証明している。
本年度はその証明に用いられたモデルの変換公式、またその変種の証明に取り組んだ。本年度の研究成果として、ユニタリタイプの表現に関しても、メタプレクティック群の場合と同様の変換公式の変種を証明することができた。さらに、適当な仮定のもとで、LapidとMaoによる局所体上の証明と同様の議論をすることで、この変換公式の変種から局所体上の予想が証明出来る事をp進体上の場合に確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特殊値の代数性はp進L函数など、L函数の特殊値の算術的応用への第一歩と考えられる。そのため四元数ユニタリ群とGL(2)のテンソル積L函数の特殊値の代数性の証明を完成させたことは意義深い。 また、LapidとMaoの予想においては、彼らの局所体上の予想の証明から変換公式の変種は非常に大きな壁である考えられる。その部分をクリアできたことはこの予想への取り組みにおいて、非常に大きな前進であると考えられる。モデルの変換公式自体は取り組んでいる途中であるということを踏まえても、概ね順調だと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きLapidとMaoによる予想に取り組む。今年度の成果として、適当な仮定のもとで局所体上の予想に取り組んだが、今後の研究においてはまずその仮定をはずすことに取り組む。実際、分裂型簡約群の場合に知られたWhittaker函数やガンマ因子に関するいくつかの事実を準分裂型へと拡張する必要がある。当面は、Oscillatory integralと呼ばれるunipotent群上の積分のstabilityや、Bessel函数の解析に取り組む。
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