2014 Fiscal Year Annual Research Report
16世紀前半ヨーロッパの国際秩序回復におけるネーデルラント使節
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14J01159
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
加来 奈奈 首都大学東京, 人文科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ブルゴーニュ / ハプスブルク / ネーデルラント / 外交 / 平和条約 / 使節 / 大使 / カール5世 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、16世紀前半のハプスブルクとフランスの平和条約がネーデルラントとフランスの境界周辺で締結されたことに注目し、ハプスブルク家の支配領域の一部でありながらも、独自の統治体制を保持していたネーデルラントが平和条約の交渉・実現において果たした役割を、ネーデルラントから派遣される使節を通して明らかにすることを目的としている。 本年度は、史料収集やベルギーの研究者との学術交流、そして研究基盤となる『総収支財務勘定簿』の中の「大使と大旅行」という章の分析を中心に取り組んだ。そのなかで、3か月間ベルギーに滞在し、カトリック・ルーヴェン大学のコールス教授と共同研究を行った。そこで、とりわけ外交上重要なマドリッド条約締結、戦争再開、停戦、カンブレ平和条約締結、その条項施行といったプロセスが現れる1520年代後半の勘定簿を分析し、こういった戦争から条約の履行に関わるプロセスの中で、どのような時に、どういった人物が、どのような任務で派遣されるのかを明らかにした。今回、ベルギーで行った研究成果の一部は、コールス教授との共著として英語で論文を刊行する予定である。さらに、ベルギーでの滞在中、フランス・ノール県文書館を訪れ、『総財務収支勘定簿』の一部の電子化を依頼し、その他重要な史料(書簡や回想録)などについて調査した。ベルギー滞在中、ウィーンの文書館訪問、ヘント大学の研究者との学術交流を行った。日本においては、史料の分析を継続して行い、さらに日本語と英語での論文作成に取り組んだ。また、ブルゴーニュ公国史研究会より出版予定の『ブルゴーニュ国家の形成と変容-権力・制度・文化-』(九州大学出版会)に、使節派遣の司令塔となる中央政府の貴族に関する論文「ブルゴーニュ・ハプスブルク期におけるネーデルラント貴族-フランスとの境界をめぐる問題と平和条約における役割-」を寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の初年度として、史料の調査・収集・分析はおおよそ順調に運んだといえる。一部、文書館員の作業の時間的問題において、電子化を依頼できないものはあったが、不足分は来年度も申請でき、また、ルーヴェン大学のアールッツ教授との研究相談の中で、ルーヴェン大学の図書館にも古いものだが同じ勘定簿のマイクロフィルムが残っていることが明らかになり、次のベルギー滞在においてはより簡単に史料を確認できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、初年度であることもあり、史料収集や英語の論文執筆に時間をとり、具体的な形として研究成果(出版や発表)はあまりできなかったという課題はある。しかしながら、ベルギー滞在やボーネ教授の来日により、研究ネットワークを広げることができ、史料収集・分析や研究交流という点において、今後の研究発信の重要な基盤となるような一年となった。来年度は、これまで築き上げた研究ネットワークを生かし、再び3か月程度のベルギーを中心に海外での共同研究・史料調査を行い、継続して勘定簿から使節派遣の全体像を探るとともに、特定の使節の具体的な活動も分析し、さらに成果発信にも力を入れていく予定である。
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Research Products
(1 results)