2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J01197
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
醍醐 龍馬 大阪大学, 法学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 日本政治外交史 / 国際関係史 |
Outline of Annual Research Achievements |
<具体的内容> 平成26年度は、日本国内のみならず、サンクトペテルブルクのロシア国立海軍文書館などでも史料調査を実施した。そして、明治維新期の日露領土問題(樺太問題)を解消した樺太千島交換条約をめぐる榎本武揚の日露交渉を、国内政治と国際政治の両面、かつ日露双方の視点を踏まえて分析した。これによって、榎本が国際関係の多面的な変化の中でロシア側から譲歩を引き出して行った経緯が、より精緻かつ立体的に明らかになった。 具体的には、榎本がロシア側から譲歩を引き出して行かねばならなかった背景に、明治六年政変後の国内不穏の情勢が絡んでいたことを指摘した。同時に、対日交渉の長期化を恐れたロシア皇帝の意向並びに、千島列島の全てを譲歩するに至る皇帝を中心とした政策決定過程などを明らかにしながら、条約締結への過程を詳細に跡付けた。本研究の成果は、論文として『阪大法学』に掲載される予定である。
<意義・重要性> 本研究によって、これまで知られて来なかったロシア政府内部の動向も踏まえながら、榎本による日露交渉の全貌を明らかにすることが出来た。このような成果は、日本やイギリスの史料のみならず、ロシア側史料も積極的に利用したことに依るところが大きい。また、条約締結の意義も指摘しながら、明治六年政変後の国内外の政治状況の中で樺太千島交換条約を位置付けることも出来た。これは、本条約に規定されるその後の日露関係を検討していく足掛りとなる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、予定通り樺太千島交換条約の交渉過程についての研究をほぼ終えることが出来た。論文の刊行が決まったほか、研究会での口頭発表、招待講演も一件ずつ実施するなど、研究成果の公表も進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、樺太千島交換条約に焦点を当てた平成26年度の研究成果を元に、それ以後の日露関係を検討する。これによって、榎本が駐露公使を務めた時期の日露関係が、より具体的に明らかになるだろう。
|
Research Products
(2 results)