2014 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子機械における化学-力学変換の時空間制御メカニズムの理論的解明
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14J01431
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田村 康一 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | QM/MM / カルモジュリン / ADP/ATP透過担体 / 膜タンパク質 / 分子動力学法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はF1-ATPaseの加水分解機構を解明するために、熱揺らぎの効果を取り入れたQM/MM法をreactantに適用した。結晶構造中のempty部位に対するリン酸結合の効果も調べるために、一価・二価リン酸のパラメータを作成し、それぞれのリン酸が結合したreactantをモデリングした(30万原子系)。リン酸が結合していない系について540ナノ秒、リン酸が結合している系について270ナノ秒のMD計算を行ったが、収束に至らなかった。しかしタンパク質の大きな構造変化とリン酸結合が反応に与える影響についての知見が得られつつある。 またタンパク質の大きな構造変化をサンプルすることを可能にするLRPF法の開発を行った。本年度はLRPF法によって生成した中間構造の安定性を確認するために、カルモジュリンのN末端構造に対して300ナノ秒のMD計算を行い、RMSDを計算することで安定性を確認した。これらの結果をまとめ、論文を投稿することができた。 さらに開発した方法がトランスポーターのような巨大な系に対しても有効に働くことを示すために、ADP/ATP透過担体の未知構造を導出することにした。結晶構造にADPを配置した系をモデリングし、MD計算によって緩和させたあとにLRPF法を適用した。導出した内向き開構造からADPを強制的に除去することで、基質が結合していない内向き開構造を得た。この構造に対して4マイクロ秒のMD計算を適用することで、その安定性を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
30万原子系に対してサブマイクロ秒のMD計算を達成できた。 新しい方法であるLRPF法の開発が完了し、論文を投稿することができた。 開発した方法を膜トランスポーター蛋白質に適用し、その未知構造を導出するという顕著な成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きF1-ATPaseのMD計算を行い、構造最適化をすすめる。リン酸が結合した系については、バイアス関数を除去した計算を実行する。 導出したADP/ATP透過担体の未知構造に対して薬剤ドッキングのMD計算を行い、薬剤の結合様式を決定する。
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Research Products
(2 results)